LEMONADE & BUNS / KIRA

 '98年に来日公演を行ったアイルランド音楽と他の民族音楽を融合させたことをやっているケルティック・バンドの'00年リリースの3rd(1stはカセットのみとか)。このバンドのライヴはとても面白かったのですが、アルバム聴いてまたその興奮が蘇ってきます。ケルトがメインの音楽ながら、個性を感じてしまうのは、やはり他の音楽も入っているからなのでしょう。オープニングは揺るらかなインスト。その優しいメロディがとてもいい気分にさせてくれる。"Tin Lasta"はアフリカの民族音楽っぽい、歌がリズムになっているような曲。ゲール語の曲です。しがわれた男性Voがまたいい。そこにフィドルが絡んでくると、とてもぞくぞくしてしまう。ライヴでもかなり印象的だったアフリカっぽい曲は他にも収録されてます。"Andy's Bar"はメドレー曲のようで、最初は静かに始まり、だんだんとアクティヴになり、最後は大盛り上がりになるダンス・チューン。血が騒ぎますね。タイトル・トラックも同じ感じのダンス・チューン。フィドルが非常に激しく演奏されてます。そういえば、フィドルのおねいさんは、素朴そうな感じで、とても可愛かったなあ。また来日してくれたらいいのに。"Ge Tu Fein"はこのアルバムからは浮いている。フルート奏者である人が歌っている、とても悲しげな曲。なんとなく記憶になるので、もしかしたら来日公演でもやっていたのかも。また日本盤はボーナス・トラック2曲収録です。http://www.kila.ie/www/home/index.html  (純生)


NO BOUNDARIES / NATALIE MACMASTER

 カナダ出身の女性フィドラーの'96年リリースの4th。確かAshley MacisaacとMary Jane Lamondと同じ島の出身だと思いました。ルックスもなかなかいいです。ただのケルト音楽ではないAshleyの凄いアルバムを聴いてしまうと、ちょっとのことぐらいでは驚かないのです。このアルバムは彼女がただのケルト音楽の枠に捕らわれずに作った出世作らしいのですが、私にはもっと驚かせてほしいなと思ってしまう。女性Vo曲とか、様々な楽器との演奏もあって、伝統的なケルト音楽のアルバムではないと思うけど、まだまだ物足りないです。また、AshleyやMaryと似た感じのサウンドでもあったりします。"Paddy Leblanc's Set"はピアノをバックにフィドルをひきまくってます。途中から速くなってきて、とてもアグレッシヴになります。シンプルだけど、こういう演奏はとても好きです。ライヴでやったら大盛り上がり間違いないでしょうね。"Where's Howie?"は聴いたことがあると思ったら、Ashley Macisaacが来日公演時に、筑紫てつやのニュース番組でゲスト出演して演奏した曲ですね。Ashleyはこの曲で踊りながら演奏していましたっけ。そして彼女の素晴らしいことは、このアルバムだけでは伝え切れていません。なんと彼女もAshleyと同じように、演奏しながらステップ・ダンスを踊ってしまう人のようです。見てみたいですよね。ルックスもいいんだし、日本に呼んでほしい。で、オフィシャル・サイトを見ていると、映像がいくつかありました。その中に短いですが、彼女がステップダンスを踊るのがありましたよ。嬉しい。でも、かくかくしていて、ちょっといまいちでしたが。 http://www.nataliemacmaster.com/  (純生)


SWAGGER / FLOGGING MOLLY

 元FASTWAYKATMANDUのVoであるDave KingがアコギとVoで在籍しているケルティック・パンク・バンドのアルバム。あれだけの上手い人…全然音沙汰がないと思ったら、こんなことをしていたんですね。詳細は分かりませんが、'97年頃には既に活動していたようです。ネット上で検索したら、パンク系の日本語の個人サイトなんかでは、何カ所かではレビューされてました。エンジニアとしてクレジットされているのはオルタナティヴ世代の看板的プロデューサー/エンジニアとかのスティーヴ・アルビニなる人。アメリカ盤も出ているし、アメリカでの活動が主なのかも。やられているサウンドはずばりPOGUESみたいな。フィドル奏者、アコーディオン奏者もいて、ケルティックなメロディが溢れています。楽しいケルト。踊れるケルト。暴れられるケルト。オープニング曲はいきなり知っている曲なので驚きました。"Salty Dog"なる曲は、BOTHY BANDがやったことで知られる(というか私は、大いに知らされた;)ダンス・チューン"The Kesh Jig"を導入した曲です。ドラムがどっかんどっかんいっていて、疾走していて、気持ちいいです。この曲だけは私の心はこのバンドへと大きく傾きました。Dave KingのVoですが、歌い方が変わっている感じがします。FASTWAY, KATMANDUではRobert Plantチックでしたが、ここではパンクっぽく、吐き捨てるかのように、軽くさらっと歌ってます。え? これがデビキン?と思ってしまうかもしれません。所々で、昔の面影のある声色で歌っていたりするところもありますけど。静かでいい雰囲気の曲もあるけど、私は思いっきりアグレッシヴな曲の方が好きです。血が騒ぎますよね。"Black Friday Rule"はこのバンドにしては長い7分の曲。途中、このバンドにしては珍しいエレキ・ギターのソロがあって、さらにブレイクしてフィドル・ソロが入ってくるところが非常にかっこいい展開です。今年のベストアルバム10の1枚にはしたいと思ってます。2002年には来日公演なんて話しも上がっているようですよ。 http://www.26f.com/ (純生)