WELCOME TO THE HOTEL CONNEMARA / DE DANNAN
 '70年代から活動しているアイリッシュ・トラッド・バンドの大御所で、Dolores KeaneMary Blackといった女性Voをも輩出しているバンドの'00年リリースのアルバムです。近年作は1,2枚しか聴いてないですけど、女性Voなしで、過去に比べると正直つまらないのです。しかし本作はちょっと趣向が違いまして、有名なポップスやロックのカヴァー・アルバムとなっています。聴く前にさらっとクレジット見て、THE BEATLESとかやっているなーとかしか思わなかったのですが、2曲目にいきなり聴き覚えのあるメロディが耳に飛び込んできてびっくり。ギターをフルートに変えて、Voラインはアコースティック・ギターで、そしてアコーディオンなんかも入ってしまうのは、THIN LIZZYPhil LynottGary Mooreの共作"Parisienne Walkways"です。むちゃくちゃ、びっくり。鳥肌立ちまくり。なんで、この曲がこんなところにって。でも、日本盤ライナーにもしっかりと書いてありますが、DE DANNANのメンバーとPhilは一時期同じアパートに住んでいて、ジャムったりもしていたそうです。LIZZYのシングルのみの曲ではDE DANNANのバウロン奏者が参加していたりもします。冷静になって…他の曲はというと、'60年代の曲が多くて、メロディはどこかで聴いていても、知らない曲多いです。たぶん、ほとんどは原曲に忠実で、楽器だけをケルトにしている感じ。インストにしているので、原曲のVoのところも、変わりを楽器でやってます。そんな中素晴らしいのは、THE BEATLESの"Hey Jude"で、途中でダンス・チューンを上手く絡めているところが、とても面白いです。最後のバウロン・ソロはぞくぞくしちゃいます。プラコル・ハルムのヒット曲"A Whiter Shade Of Pale"は、ちょっと前にPhil LynottのGRAND SLAMのヴァージョンで聴いたので、これまた馴染んでいて、嬉しい曲です。THE BEATLESの"Eleanor Rigby"PAINのカヴァーが大好きな私なのですが、ここではPAINのとはまるっきり正反対への方向へのカヴァーなので、面白いです。てゆうか、まるで別の曲です。ラストが大傑作。QUEEN"Bohemian Rhapsody"をやっているのですが、Voラインをアコーディオンでやったり、フルートでやったり。曲のテンポは原曲に忠実なのですけど、出てくる音は全然違うのがとても笑えます。途中の多重コーラス部分も、ケルトな楽器を駆使して、ある意味完コピです。これも鳥肌ものです。    (純生)


SAGA OF THE AGEING ORPHAN / ORPHAN
 都内のパブを中心に活動するケルティック・バンドの'03年リリースの1st。女性Vo&ダンス、フィドル、ギター、バウロン&ブズーキという編成の4人組。何度かライヴも見ているので、その時に聴けた曲もちらほら。若者らしいアグレッシヴな演奏が聴けますが、勢い任せることなく、繊細な音で表現されてます。またケルトのアルバムにありがちな、みんな同じに聞こえる…なんてことはなく、様々なタイプの曲が収録されていて、でもそれは決して彼らの色を損なってはいません。おねいさんはちょっと低い目の声色で、表情豊かに歌われてます。ケルティック・メタル・バンドCRUACHANもカヴァーした"Ride On"もやってます。"Spanish Reel"はタイトル通り、スパニッシュ・ギターが聴ける曲ですが、ステップ・ダンスの音も聞こえてくるのが嬉しいです。ああ、でもダンスの素晴らしさは、ここではなく、実際に見ないと伝わらないですけど。THIN LIZZYファンの彼ららしくThanksクレジットにはPhil Lynottとママもクレジットされてます。これからも頑張って下さい。またライヴ見に行きます。 (純生)


TALK TO ME / FRANCES BLACK
 アイルランドの女性Voの'94年リリースのアルバム。Mary Blackの妹さんですが、姉に比べると華奢です。その分、ヴォーカリストとしては、線が細いですね。聴くのはこれで2枚目ですが、ケルトな曲を歌われているのではなくて、大人のポップスという感じで、ちょっと退屈です。ま、ケルト限定ではないので、楽曲はバラエティに富んでいますが、それは思いやりのある表現です。正しくは散漫ないろいろな曲を歌っている…。いちおうケルト本にも載っている人なので、今後はもっと安く落ちている時にだけ拾うことにします…。(純生)