FUAIM / CLANNAD
 アイルランドの代表的なトラッド・バンドの'80年リリースのアルバム。このバンドは3人の姉弟がメインのバンドなのですが、末娘が今をときめくEnya。そして本作はEnyaがソロ・デビュー前にCLANNADに唯一参加したアルバムです。CLANNADとEnyaではかなり音楽性が違います。CLANNADは近年こそはモダン化していくものの、ベースとなっているのはアイリッシュ・トラッドです。それに対してEnyaはケルト音楽の象徴的な扱いですが、そのヒーリング・ミュージックからケルトのメロディを感じることなんて私には出来ません。その2つの音楽が融合するわけですから、これは凄いことになっている!なんてことはなくて、バンド自体のサウンドもモダン化する前の純然なアイリッシュ・トラッドをやっていた時期のようで、Enyaも才能の開花前。というわけで、わりと正しいアイリッシュ・トラッドをやってます(曲によってはエレクトリック・ギターやクラリネット入れてます)。私はこの時期のCLANNADを聴くのは初めて。なので、ALTANあたりを聴いている感覚に捕らわれました。コーラスの美しさはALTANにはないことかな。元気なダンス・チューンは逆にCLANNADにはない。ちなみにEnyaはKeyとVo担当になってます。メインでは歌ってないような気がします。(純生)


LISBOA / MADREDEUS
 ポルトガルと言えば…MOONSPELL!と答えるあなたは正しい。そのMOONSPELLもカヴァーしたポルトガルの女性Vo擁する民族音楽・ヒーリング系バンドの'92年リリースの2枚組ライヴ・アルバム。地元リスボンでのライヴです。なんと日本盤も出てます。3,700円って高いなーおい! 私は廃盤セールで昔買ったのだと思う。来日公演もやっているバンドです。私も2枚ぐらい聴いているのかな。とても長閑で、クラシカルで、でもアコーディオンとかが聞こえてくる。私には神聖的な音楽というイメージもある。でも眠くなるけど; 女性Voはとても上手い人です。ワン・パターンに感じて眠くなる曲が半分以上; 本作は22曲入り。この中で以前に聴いたのを覚えているのは名曲とされる"O Pastor"だけです; しかも一晩のライヴ中で2回もやっているのです。ライヴ中盤と、ライヴのラスト(アンコールとか?)。この曲は他の曲に比べると、まったりとしているけど、起伏があり、歌メロに盛り上がりがある。とても切ないメロディ。この曲があるから、このバンドのアルバムを次々と聴きたくなる。この曲よりもいい曲はなさそうなのだけども、もしかしたら?と求めてしまう。この曲のオーディエンスの反応も凄い。"A Estrada Do Monte"は明るいメロディを奏でるアコーディオンが印象的。このバンドにしては明るい曲。ポルトガルのロマン歌謡みたいな曲。ららら〜なんて歌ってるし。ちょっとぞくぞく。残念ながら、22曲も収録されているのに、MOONSPELLがカヴァーした"Os Senhores Da Guerra"はなし。聴き所の一つだったのだが。(純生)


IN MY HANDS / NATALIE MACMASTER
 カナダ出身の美人フィドラーの'99年リリースのアルバム。日本盤が出てます。カナダのケープ・ブルトン(という島?)の出身で、オルタナティヴ・パンク・フィドラーのAshley Macisaac、女性VoのMary Jane Lamondも同じ出身。ミュージシャン人口がとても高いのだとか。で、この人もフィドルのスタイルもとてもAshleyに似ている。ダンス・チューンなんかそっくり。明るいのです。トラッドをベースに、ロックに足を突っ込んでいるのも同じ方向性かな。なので、正しいケルトなわけなくて、Ashleyに似ているとはいえ個性的なサウンド。ドラムがかちっとした音を叩きだすと、力入る。オルガン、ピアノもいい感じ。彼女自身が歌っている曲もあります。ヴォーカリスト!ってほどじゃないけども、歌うってことだけで、しびれている私。核となるのは当然彼女のフィドルで、バックには様々な楽器、様々なミュージシャンが参加している。しっとりとしたバラードの"Blue Bonnets Over The Border"はフィドルのバックで、いい感じのストリングスがなっている。クレジットには彼女がフィドルで、バックにはヴァイオリンってあるのが面白いですね。フィドルとヴァイオリンの共演です。Fumiko Imajishi…という日本人らしい人もヴァイオリンで参加してます。美人アコーディオン奏者のSharon Shannonも参加…うわー、美人の共演は音だけじゃ物足りない。様々な妄想を沸き立ててくれる。そして、フィドルを演奏しながら、ステップ・ダンスを踊るのも、Ashleyと一緒。アルバム中では"Mom's Jig"で披露している。女性がそれをやっちゃうのだから、絵的にもかなり映えるのでしょうね。まだ見ぬ最後の大物と個人的には思っている。来日公演してくれたら、ケルト・ブームが一段落したみたいな日本も、また盛り上がっちゃうに違いないですよ。(純生)