HARMONY HILL / DERVISH
 あんちょこのケルト本が見つからないので詳細は分かりませんが、アイルランドかスコットランド出身の若手6人組の'93年リリースのアルバム。あんちょこ本に載るぐらいですから、適当に権威なバンドのはずです。アコースティックな楽器でダンス・チューンと歌曲を交互にやるあたりは正しいケルト。ダンス・チューンは個性は皆無ながらも、だれることなく軽快でいて踊れそうな感じ。そしてある程度の緊張感もあり合格。更に女性Voがルックスは素朴かつ若いのだが、トラッドを歌う女性Voとして歌唱力はは完成されている。演奏も歌もBOTHY BANDを聴いているかのような完璧なアルバム、正しいケルトです。意外性はないから、だからいつでも気軽に聴けちゃう。(純生)


HOME / HOTHOUSE FLOWERS
 アイルランド出身の5人組のロック・バンド、'90年リリースの2ndアルバム。VoのLiam O Maonlaiは2年前のDonal Lunny公演に同行して野性味があり艶っぽいVo(男性Voの表現としては適切でないかもしれないが)を聴かせてくれたのがきっかけで、後追いでアルバムを揃えています。この時は既にバンドは3枚のアルバムをリリースして活動を休止(というか解散とされていたような)。これまでに4度の来日公演を実現させているほど、日本においても人気のあったバンドのようです。トラッドがベースなのかもしれないけど、ここで聴かれるのはシンプルなロック。そうなると曲の良さとVoが要です。退屈な曲もあるけど、シンプルなロックとは形容しがたくなるような曲も存在します。特にタイトル・トラック"Home"の歌メロがいい。まあライヴでみた時の衝撃は感じられないけど。アイリッシュらしさはあまりありません。でも、なぜ彼がDonalのライヴに参加できたのかは、アルバム最後のわずか40秒ではあるがLiamの独唱によるトラッドを聴くと、わかったような気にさせられる。なおLiamはSharon Shannonの1stでピアノで参加していました。そしてHOTHOUSE FLOWERSは今年になって3人になって活動を再開しアルバムをリリースしました。アコースティックな編成になったようです。そして、秋には5度目の来日公演が仕切りが悪くともケルトなプロモーター、プランクトンの招聘で行われたばかりです。(純生)


THE PROMISE RING / JON ANDERSON
 YESのJon Andersonが'97年にリリースしたケルト・アルバム。参加ミュージシャンは無名のアメリカ在住の人々のようです。ほとんどの曲が、軽快なダンス・チューンの上に、更に軽快なJonのVoがのってしまうという、実に新しい手法です(汗)。まあロック畑の人がケルトな楽曲をやると、同じようにダンス・チューンのメロディの上で歌ってしまう場合もありますが、ここまで大胆なのは初めて聴きました(汗)。ダンス・チューンは踊るためのものであって、一緒にそれらしいメロディをつけて歌うもんじゃないんだってば(汗)。しかし、これが非常に楽しくもあり、面白くもある。しかし、これを他の人が歌ってはいけません。あくまでもダンス・チューンと共存できるノリの軽いJonの声だからだと思うのです。(純生)


MIND THE GAP / KILA
 アルタン祭りでライヴを見ることが出来たKILAのアルバムが中古でそこそこの値段で拾えてしまった。これは'95年リリースの1stですが、これの以前にもカセットのみでフル・アルバム分の音源をリリースしているそうな。やはり、というかライヴで聴けた音が押し寄せてくるような感覚は得られない。アイリッシュ・トラッドの枠にくくれない様々な14曲のうち、静かな歌もの曲は退屈。静かなインスト曲も退屈。アフリカンなリズムに原始的なVoの曲はライヴ同様に楽しめる。それとやっぱりこのバンドのダンス・チューンはリズムがひと味違っていて面白い。このアルバムで音だけ聴くと、ホワンホワンと跳ねているようなリズムの音がある。ライヴを聴いた者ならば、それがKILAの彼の独特のバウロンの音だということがわかる。そんな風にして目を閉じると、やっとステージ上の7人が元気いっぱいに演奏している姿があの音圧と共に思い出されてくる。しかし、フィドルのおねいさんのプレイが聞こえてこないのはどうしたことか。フィドルとイーリアン・パイプは音が重なる楽器ではあるけど、ちょっとバランスが悪すぎるのが不満です。(純生)


LIVE IN SAN FRANCISCO AT THE PALACE OF FINE ARTS / LOREENA McKENNITT
 カナダのケルトな女性Vo兼ハープ奏者の'95年にリリースされた6曲入りライヴ・アルバム。このアルバムは彼女のレーベルでの通信販売オンリーの品です。私はラッキーなことにたくさん購入して余っちゃっていた人に譲っていただきました。う〜ん、やはり生音は違う! 「ライヴ」ではなく、生の音と表現したい。彼女の歌もバックの演奏も完璧で、微妙な違いではあるけどね。アイリッシュの枠の中にいた過去のアルバムからの曲よりも、自由奔放な楽曲を創りあげた『MASK AND MIRROR』からの楽曲の方が私は好きです。ここには"Santiago"と"The Bonny Swans"が収録されている。KILAのバウロンじゃないけど、彼女の歌声こそ天空に舞うという表現に相応しい。スタジオで閉じこめられているよりも、ライヴではより天高く舞っているという気がしちゃう。いつも書いているけどCHIEFTAINSのゲストで見れたのは本当に貴重な体験でした。しみじみそう思うし、記憶はいっこうに薄れない。なおプロモ盤は10曲入りで伊藤政則さんがラジオで何度もかけていたのはプロモ盤からのようです、さらにオーストラリア盤の『MASK AND MIRROR』は2枚組でそのプロモ盤がついていたとか。マニアの間では、来日公演の記念盤にこのアルバムがリリースされるのでは?という期待と妄想でいっぱいです。(純生)