SILVER WRISTS / NAIMEE COLEMAN
 アイルランド出身の女性Voの'96年リリースのアルバム。昨年にプロモ来日をしたWILD OSCARSというアイルランドの新鋭ロック・バンドのアルバムでも数曲歌っているそう。ジャケットを見る限り、ルックスは若さが強調されていてまあまあ。アコースティックな楽曲ながら、躍動感もある。けど、分かりやすいアイリッシュらしさはサウンドには出てこない。だから、普通の女性Voアルバムって感じなんです。Voスタイルはかわいいタイプ。CORRSのおねいさんみたいかな。(純生)


POGUE MAHONE / THE POGUES
 アイリッシュ・トラッドとパンクを融合させたロック・バンド、'95年リリースの最後のアルバム。初代VoのShane MacGowanもアル中が原因でバンドをクビにされているが、ここで歌っているVo氏もアル中になり、またこのアルバムではメンバー3人が交替しているなどもあって(Terry Woodsという初期STEELEYE SPANにいたバンドにとって大切そうなメンバーも去っている)、解散に至ったようです。しかし、最後のアルバムには惜しいほどの出来で、パンクのエネルギー全開だし、アイリッシュ・トラッドのメロディも溢れている。名曲"ニューヨークの夢"の続編を狙ったような女性Voとのデュエット曲"Anniversary"も心にぐっとくる。(純生)


THE FIRST CAUL / SEELYHOO
 スコットランド出身の男女3人づつの6人組の若手トラッド・バンドの'95年リリースのアルバム。基本はフィドルとアコーディオンが主役のダンス・チューンがあって、女性Voの歌ものもあるというもの。楽曲もサウンドも基本は伝統的なものです。そうありふれているのです。ただし、ダンス・チューンもつんのめるような緊張感とスピード感があったりして、若さを感じさせてくれます。女性Voがゲール語で歌っているのですが、舌っ足らずでとってもコケティッシュなのがいいです。ロリ入ってますしね(汗)。私には気が付かないけど、リズムなども普通とは違うことを取り入れているらしい。ケルト本にも紹介されている注目新人のようです。(純生)


YEAR, YEAR, YEAR, YEAR, YEAR / THE POGUES
 '90年リリースの4曲入りシングル。タイトル曲は普通のロックでPOGUESらしくないで、いまいち。ROLLING STINESのカヴァー"Honkey Tonk Woman"はPOGUESらしい演奏かな。でもオリジナルの"Jack's Hero's"の方が輝いている。それよりも私が購入のきっかけとなったのは"Whisky In The Jar"が収録されていることなんです。LIZZYのやったののカヴァー?と思いきや、クレジットを見るとアレンジはDUBLINERSとなっている。なるほど、DUBLINERSのヴァージョンは聴いているのですが、そのようなアレンジで、LIZZYのとは違うや。これではLIZZYのカヴァー・リストに載せるのは気が引ける。ちょっと残念。(純生)


HERITAGE DAS CELTES / DAN AR BRAZ
 フランスのケルト文化圏ブルターニュ出身、FAIRPORTにも短期間在籍したことのあるギタリストDan Ar Brazを中心とした「ケルトと海」をテーマにした一大ケルティック・プロジェクト・アルバム。'94年の名作。彼と共にこのプロジェクトの中心的役割のDonal"どこにでも顔出します"Lunnyを筆頭に80名のケルト圏(アイルランド、スコットランド、ブルターニュ)アーティストが参加。この人のアルバムは基本的に彼のエレクトリック・ギターと極めて「ロック」的なベース・ドラムスをフィーチュアした「トラッド・ロック」と言えますが、この作品では「PIPE BAND」と称したイーリアン・パイプからなるアンサンブルを起用して、「ケルティック・シンフォニー」とも呼べる壮大な内容になっています。アルバム全体の構成は、ヴォーカル曲とインスト曲を交互に並べたお約束のパターン。ヴォーカル・ナンバーでは女性ヴォーカルでしっとりと聴かせ、インスト・ナンバーで前出のようにリズム・セクションがくっついている為、ロック的なメリハリのあるジグやリールを聴かせてくれます。Danの泣きのギターが出てくるスケールの大きい曲想の"Green Land"、「PIPE BAND」をフィーチュアした"Scotish Suite"、ダンス・ナンバーにソリッドなギターをぶち込んだ"Call To The Dance"等、インストにインパクトのある曲が多い。このアルバムが気に入ったら、前作『THEME FOR THE GREEN LANDS』も傑作なので必聴。(あをやまたけし)