MAIDEN HEAVEN / FIONA KENNEDY
 強烈なほどのジャケ買い。レコード屋で手に取るたびに、ジャケットに揺るがされ、3回目に出会った時「運命」を感じ購入。イギリスかアイルランドのトラッドを歌う女性Vo。ジャケットは彼女のお顔の写真。元がいいのだろうけど、それを更に清純そうに加工してあるのか。会社で聴いている時も、このジャケットは周りの人に見られるのが恥ずかしくて、裏にひっくり返してしまう。残念なことに、彼女の写真がジャケットのみでしか拝めないということ。たまたま写真写りがいい、というケースもあるだけにね。何故か子供の頃の写真はブックレットに載っている。これはこれでロリコンの純生は大満足だったりする。
 音はアコースティックで凄くシンプル。ちょっと普通過ぎて退屈な部分もある。彼女の声は、Loreena McKennittの雰囲気に似た高音だけど、Loreenaほど神聖な感じはしない。ケルトもほとんど入っていない。後半に1曲だけ楽しい雰囲気のケルトな曲があるだけ。サビに躍動感がある最後に収録されているタイトル・トラック"Maiden Heaven"は良いです。(純生)


SONG FOR IRISH WHISTLE / JOANIE MADDEN
 まんまのタイトル。最近はトラッド系の作品でも、ニュー・エイジ扱いされている物が結構あって(NIGHTNOISEなんてもろにそうですね)、レコード・ショップに行ったら、その手のコーナーまできっちりチェックを入れている、どうしようもないトラッド漬けの私ですが、このアルバムもそんな中から見つけた1枚。ケルトの血を引いている、詳細不明のアメリカ人女性ホイッスル奏者の作品。確かに、バックのシンセの使用法、アコースティック・ギターなど、「とってもウィンダム・ヒル」ってな感じで、幾分ニュー・エイジ的ではありますが、その上を流れるJoanieの「アイルランドの朝霧の空に響き渡るホイッスルの音色」がケルティックな哀愁を漂わせています。雄大に広がる、アイルランドの湖と大地を写したジャケット(FRUUPPの3rdの内ジャケのような…って言っても分かるのは緒方さんくらいか<笑>)を見ながら聴くと、涙が出てきそうです。オリジナル曲の他にもトラッド・チューンも数曲取り上げていますが、その中にはあの"Black Rose"もあり。(あをやまたけし)


DEEP HAERT'S CORE / KATE PRICE
 前作『THE TIME BETWEEN』のクラシカルなカラーに加えて、ここではバルカン半島のリズムを取り入れたり、シタールを使ったりと民族的な要素が強く感じられる作風になってます。その分、ケルト色が薄くなった感じ。個人的にはヴォーカル・ナンバーについては、前作ほど印象的なメロディの曲がない気もするけど、長いめの曲が多いので、じっくりと聴き込めば味が出てくると思う。実はこのアルバムで充実しているのはインスト・ナンバーの方で、ハンマー・ダルシマーの超絶妙技巧プレイが凄まじい、東欧系変拍子ナンバー"Sonatina Montenegro"や"Temple Of The Wind"は圧巻。ここまでくると、もうトラッド云々の域を飛び越えている。凄い。生で見たい。そんな訳で、Kateの歌をじっくり堪能したいなら前作、彼女のプレイヤーとしての凄さに圧倒されたいのなら、このアルバムをそれぞれお薦めしますが、もちろん両方買うのが賢い。みんなでCD買って来日祈願といきましょう。ところで、どうでもいいことですが、日本盤のジャケットって、外盤ジャケ写の裏焼きになっている?(あをやまたけし)


HI HOW ARE YOU TODAY? / ASHLEY MACISAAC

 カナダのキルトをはいた'20代のオルタナティヴ・パンク・フィドラーの'96年リリースの3rd。サウンドの基本はばしばしにロックなんです。そこにアイリッシュなメロディを絡めるというわけ。"Sleepy Maggie"がいいです。打ち込みのリズムに、フィドルが絡んできて、なんとも言えない気だるそうに女性Voがかわいく歌ってくれてます。全編この調子でいっても、面白いのかもしれないけど、女性Voが絡むのは数曲のみ。"Runst D-con-Struck-Tion"は荒々しいロックに、フィドルが絡む。そして"The Devil In The Kitchenが、最高に痛快。速いハード・ロックの曲を、ギターの代わりにフィドルを弾きまくってしまった感じ。トラッド・フィールドから紹介されているのに、こんなにもアグレッシヴでいいのでしょうか。速いドラムのリズム、シンバルの音がかっこいいです。首振れます。ああ、でもしっとりとした実に心安らぐフィドルも弾いてくれちゃているんです。新鮮さもあり、とても面白いです。なお、1st, 2ndでは、普通のトラッドをやっている。(純生)