FORGIVEN, NOT FORGOTTEN / CORRS
ライヴを見る前と後で、これだけ評価が変わったアルバムも珍しい。ライヴ後に恋の病に侵されたという理由もあってか、毎日のように聴きまくっていました。実際のところ、メタルに比べると軽い音作りは、朝のBGMには最適なんです。後は繰り返しの法則。曲を聴けば聴くほど好きになる。
ケルト未体験者には、アルバム通して共通したメロディを聴かせることによって、CORRSのカラーを印象づける。またプロデューサーが大物(らしい)David
Fosterなので、彼のファンも大いに注目したそうだ。結局のところ、この人もケルト未体験者故にやられてしまったのだろうと推測する。そうCORRSは確信犯なのです。かわいいポップ・ロックにケルトのメロディを大胆に取り入れるのが基本。特に新しいことをしているわけでもない。トラッド・フィールドでは全く話題にならないのかもしれないが、ケルトが知れ渡ってないアメリカのチャートでは新鮮に聞こえたのでしょう。その代わり、ケルト/トラッドの本物ファンからは総スカンされているみたい。
私の場合は、愛くるしさにしてやられた(笑)。んーどの曲もケルトのメロディに揺られて、踊りたくなるぐらいに素晴らしい!…だって(笑)。優しいメロディに全身を委ねてしまいたくなる"Runaway"とか、ライヴでは口元で中指をメロディに合わせて揺らしていたのが印象的だった"The
Right Time"とか、ケルトのメロディの楽しさを十二分に発揮している"Heaven
Knows"とか…。
そうそう忘れてはいけません。LIZZYの"Black Rose"のギター・ソロにも使われているトラッド・ソング"Toss
The Feathers"もやってます。そう、このバンドが偽りのケルトではないことは、アルバム中の1/3はインストのジグが収録されていること。結果的に総スカンくらってしまったけど、純粋なるアイリッシュなのです。
あのJUDAS PRIESTやDavid Coverdaleのソロにも参加していたSimon Phulipsもその"Toss
The Feathers"でドラムを叩いています。メタルにも無縁じゃないです(強引な;)。
ジャケットではきつい表情で、しかもVoの子なんて、額にしわ寄せてシリアスを装っているけど、実際のところまだまだかわいい女の子なんです。よしよしって感じだな…あっロリータ・コンプレックスなのがばれてしまう;
(純生)
LIEGE & LIEF / FAIRPORT CONVENTION
初期のFAIRPORTはベストしか聴いていなかったのですが、名盤ということでいずれ手に入れなくてはと思っておりましたが、新しい事実を知ったので、早急に欲しくなりました。
何度聴いても"Matty Groves"はいいですね。Sandy Dennyの声を初めて聴いた時は、トラッドの女王とかいうので、凄くきれいな声かなとも思ってたので、最初はがっかりしたのですが、この演奏にためはれるほどの力強いVoこそがトラッドの女王の由縁なのかな、と勝手に解釈してます。そして、この曲の後半の延々と繰り広げられるバトルは凄まじいです。近年のFAIRPORTは3枚ほど聴いたのですが、ほのぼのとしていいんですけど、やはりこういったスリリングある曲を聴いてしまうと、初期の方がいいと思ってしまいます。
お目当ての"Medley"ですが、この中の"Toss The Feathers"がTHIN
LIZZYの"Black Rose"のギター・ソロに使われているのです。もう、そのまんまなのです。『BLACK
ROSE』発表の数年前に、既にGary Mooreがライヴのギター・ソロではこれを演奏していたりもします。(純生)
THE UNFORTUNATE CUP OF TEA! / HORSLIPS
トラッドの影響が強く現れていた初期LIZZYに似ているということで買ってみた。アナログに高値が付いている昔のバンドです。アルバムの大半の曲は、わかりやすいケルトのメロディも出てこず、イギリスのブルース・ロックのバンドぽいかなあ、と。
しんみりとして熱く語るように歌われる"Flirting In The Shadows"なんかは、まさにLIZZYの初期とだぶらせて聴いてしまいました。インストの"Turn
Your Face To The Wall"のギターの音色なども同様です。"The Unfortunate
Cup Of Tea"はずばりのインストのジグで、ほっとしたりします。最後の曲"Everything
Will Be Alright"はロックにケルトのメロディを上手く取り入れた私好みの曲で満足です。
クレジットには、フィドル、ティン・ホイッスル、イーリアン・パイプ、ボーランなど、それらしい楽器は勢揃いしているのに、アルバム全体に渡っては聞こえてこないのが残念でした。基本はロック・バンドだから? (純生)
PEOPLE / HOTHOUSE FLOWERS
Donal Lunnyのライヴにおいて、凄く存在感のある歌を聴かせてくれたLiam O'Maonlaiの在籍していたバンドということで気になって買ってみた'88年リリースの1stアルバムです。トラッドとブルースとロックの融合だそうなのですが、女性コーラスをふんだんに使い、ホーン・セクションも入ってくるし、なんかゴージャスな普通のロックに感じられる。それよりも、ステージ上では凄いと感じたLiamのVoがここで聴く限りでは、同じ人なのか?と首を傾げてしまうぐらいに普通過ぎるのです。まあ、それがライヴにおけるマジックなのかもしれませんが。
じゃ、気に入ってないかというと、そうじゃなかったんです。楽曲がいいんです。"Hallelujah
Jordan"や"If You Go"などが特になんですが、どの曲も歌メロが心に残ってしまうのです。…これは結局Voの魅力によるものなんでしょうね。私が知っている音ではアメリカ・ロックのJohn
Mellemcampの雰囲気に似ている。JohnのルーツはBob Duranになるわけで、そうなるとH.FLOWERSを聴いて私はトラッドを感じ取れなかったけど、そうじゃなくなってしまうなあ。(純生)
BREATHE / MIDGE URE
ULTRAVOXのMidge Ureがケルトなソロ・アルバムを作ったというので、買ってみた。「ケルト買い」ってやつですか。で、想像していたほどケルトでもなく(参加ミュージシャンはケルトな人々らしい)、ULTRAVOXの雰囲気も微かに残っていて、ちょっとほっとしたりしてます。
"Breath"はMidgeのぶっとんでいるVoがいいです。"Fields Of
Fire"はアルバム中で、一番私がケルトを感じる曲です。この暖かく優しいメロディがいいです。ULTRAVOXちっくな控えめなKeyをバックに女性Voとのデュエットで切々に歌い上げられる"Guns
And Arrows"。ヴァイオリンが印象的な"Live Forever"、あたりがお気に入りの曲です。
Midgeがケルトに傾倒したことで、また新しい音楽ができたのかも。流行で、ただアイリッシュを取り入れただけに終わってなくて、よかった。(純生)