DESERTERS / OYSTER BAND
 '92年リリースのアルバムです。ケルトをふんだんに取り入れたロック・バンドといったところでしょうか。「POGUES好きでしたら」ということのお薦めされて買いました。で嫌でも比較してしまいますが、VoはPOGUESのシェーンの吐き捨てるような荒々しいヴォーカルに比べると、やはり普通過ぎる。が、ずっと歌える人です。POGUESよりも、ずっと演奏力はありそうで、特にリズム隊の安定感と迫力は凄いです。
 1曲目の疾走感ある"All That Way For This"や、ヘヴィなドラムのリズムを基調に、私の好きそうなわかりやすいケルトのあのメロディを奏でるフィドルが存分に絡んでくる"Elena's Shoes"、そして陽気なケルトのメロディ溢れる(メタル・バンドが用いるやつ)"Granite Years"などが特にお気に入りです。(純生)


THE BEST / SHARON SHANNON
 Donal Lunnyのライヴで顔ファンになってしまったアイルランドの天才美少女アコーディオン奏者、Sharon Shannonがリリースした2枚のアルバムから選曲された日本編集のベスト盤。これが日本デビュー・アルバムです。
 最初は聴いているだけでは、彼女の笑顔を伴わないのでがっかりしたが(当たり前のことです;)、彼女が演奏しているんだ!という思い込みによって、自然と愛聴するようになった。とにかく明るく楽しいメロディの演奏が多いのです。いやでも元気がでてしまう。幸せいっぱいな気分になれる。全部インストなので、最初が単調にも感じられたが、全14曲のどの曲もが、違う幸せを運んでくれるという感じ。どの曲も魅力的なメロディに溢れています。
 彼女の蛇腹の演奏のいいところは、誰よりも明るいこと!のようで、初めて蛇腹を聴く人にもとっつきやすい演奏をしている、ということでルックス先行だけではなく、奏者としてもちゃんと評価されているそうです。美少女といっても、間近で見た人の証言によれば「顔にしわが出来る」そうです。私もライヴで見て、美少女という比喩をされたのは数年前だろうなと思っていました。しかし、とんでもないです。彼女はもう三十路? 派手に着飾ることなく、化粧もすることない、素顔のままのSharonが大好きです。
 トラッド・ファンの間では、来日するだけでも大騒ぎだったのに、オフには黒のTシャツにパンツルックだった!という情報が飛び交ったり。あるいは、佐渡公演の時には海水浴をしたらしい? 水着写真はないのか?と混乱させてみたり(Donal Lunnyしか水着は持ってなかったというのが真相)。(純生)


TURN OF THE WHEEL / TEMPEST
 ノルウェーのバンドらしいみたいな人達。リリースしたのが、プログレ系のメタル専門レーベルのMAGNA CARTAなので、B!でも紹介されてしまったアルバムです。FAIRPORTをもっとエレクトリックにしたような感じで、フィドルのソロの後に、ギター・ソロが続いてしまったりしてます。何かお馴染みのメロディだなーと思ったら、LIZZYの"Black Rose"のギター・ソロにも引用されている"Toss The Feather"を導入した曲もあります。1曲だけですが、Keith EmersonがKey弾いています。
 特に斬新なサウンドでもないですが、純粋なメタル者には新鮮だったかもしれません。そういう私も、のりいいケルトのメロディ+ロックということなので、そこそこに気に入っています。(純生)


CELTIC SPIRIT / V.A.
 THIN LIZZYの"Black Rose"のサブ・タイトルでもある"Roisin Dubh"という曲が入っているので、気になって買ってしまったアイリッシュ・トラッドのコンピレーション。おまけに、まだ聴いたことなかったDE DANANN(Philと同じアパートに住んでいたメンバーがいるそうで;)というバンドも入っていたので。
 で、とりあえず"Roisin Dubh"ですね。うむー、LIZZYのとは全然関係ないようですね。メロディは馴染んでいる、いかにもというものだけど、なんか変わっている音色の楽器ですね。ちなみに"Roisin Dubh"はゲール語で"Black Rose"のことみたいです。
 ほとんどがインストのジグやリールということで、コンピレーションなのに、あんまり違うバンドという感じはしません。IRISH MISTなんて、バンド名は美味しそうで、バンド名買い!しそうかも。
 期待のDE DANANNも数曲入っているけど、全部インストなので、やはりドロレス・ケーンやメアリー・ブラックの歌っているのも、きちんと聴かなければ、と思いました。"Hey Jude"のトラッド・アレンジは素敵です。最初はなんか聞き覚えがあるメロディーだぞ、なんて思っていて、徐々にその正体が判明する過程は面白かったです。アレンジがしっかり、アイリッシュ・トラッドしてるしなあ。トラッドのコンピには、あまりいいものには出会ったことはないのですが、これはほんと良かったです。(純生)


COMMON GROUND / V.A.
 アイリッシュ・ミュージック界の最重要人物Donal Lunnyがプロデュースしたアイリッシュ・ミュージックの集大成的なアルバム。彼の号令の元に、大勢の有名ミュージシャンが参加している。CLANNADの女性VoであるMarie Brennaが軽快なテンポに乗って歌う"O'Bhean A'Ti"。U2のBonoは自身のバンドのリメイク"Tomorrow"をアコースティックなヴァージョンで歌い上げている。今やヴィジアル重視のロック・スターのようだが(偏見だろうか? でもスタジアムでのライヴ映像を見たが、とてもじゃないけど素朴なアイリッシュのバンドとは思えない)、心の全ては失われていないようだ。アイリッシュが誇る天才美少女アコーディオン奏者Sharon Shannonの実に優雅で華麗なメロディの"Cavan Pothles"はライヴでも演奏された曲です。このアルバム中、一番好きな曲です。Kate Bushの少女的な声はいくつになっても失われないのなあ〜ときめいてしまうよ〜と"Mna' Na H-Eireann"をかわいく歌う。来日メンバーでもあったHOTHOUSE FLOWERSのKiam O'Maonlaiが原始的なボーランのリズムを叩きながら、熱唱する"Cathain"。こんな凄い歌をライヴ聴いたから、前述のHOTHOUSEでの彼の歌が物足りなくなるのだ。
 その他、Sinead O'Connor, Elvis Costello, Christy Mooreなども参加しています。(純生)