ENYWHERE IS / ENYA
 '95年リリースの4曲入りシングルが500円ほどで買えた。ベージュのカーボン紙のおしゃれなデジパック仕様。どの曲もふわふわとした浮遊感のある可愛らしいサウンドで、彼女のVoは常にエコーがかかりまくっているような感じ。これって地声なのかなあ? 聴いたことのある"Orinoco Flow (Sail Away)"は最新アルバムからの曲じゃなくて、過去のヒット曲なのでした。あーこの力が抜けるような、優しいポップはちょっと癖になりそうです。
 さて、アイルランド音楽の観点からすると、Enyaはアイルランドを代表とする音楽とは見なされてないそうだ。CLANNADにも一時的ではあるが在籍してはいたが、その音楽的影響はほとんど感じられない。彼女自身もただのバック・メンバーであり、音楽観の違いもあったCLANNAD時代をあまり語りたくないようです。とあるアイルランド音楽本には、日本ではEnyaがアイルランド音楽=Enyaという間違った認識がされてしまったのは、「幻の民・ケルト人」というドキュメンタリーでEnyaの音楽が使用されたのが一因でもあり、何よりもアイルランド出身のミュージシャンとしては、伝統的な音楽をやる人達よりも人気があるからだと。(純生)


THE VISIT / LOREENA McKENNITT
 '91年リリース。4thにして、日本デビューのアルバム。5th『THE MASK AND MIRROR』に比べると、聴いた後の印象は薄く、楽曲に重みもおくようになったのが5thで、これはまだ彼女の歌が主役かな〜。いや、しかしレポートを書く為に聴き直すと、1曲1曲が5thほどにではないにしろ、浮かび上がってきた。ア〜ラビ〜ア風の"All Souls Night"はテンポのいい曲調にのった歌にぐぐっとくる。ケルト色の強い"Bonny Portmore"は歌が主役。彼女の強弱のある表現力ある歌にしびれたい。"Courtyard Lullaby"は繊細な音色のハープをバックにわりと淡々とした彼女の歌で序盤が始まるが、サビの部分では彼女が声を高らかにあげて盛り上がる。こりゃあしびれる。ぞくぞく。(純生)


ONCE UPON A TIME / POGUES
 '93年リリースの4曲入りシングル。500円ぐらいだったので買った。デジパック仕様。むむ、荒っぽいShane MacGowanのVoがのどかなケルトの演奏と対照的で魅力的だったのだが、彼は脱退してしまったのだろうか? 歌っている人は違うし、彼の存在を示すクレジットもない。そういえば、B!の編集後記に元POGUESという肩書きもあったので、バンドは解散したのかなとも思ったけど、彼が脱退してしまったのだろうね。人数も一人減ってるし。というわけで、ここでの歌は彼よりもソフト。でもかすれ声がパブ・バンド的な雰囲気出てる。音楽性は多少モダンになっていながらも、ファアポート・モデル(FAIRPORTのあのメロディをこう表現するそうな)の陽気なメロディと、演奏されているのはロックだけど楽器は民族音楽的なものという、POGUES基本のスタイルは何も変わってない。だから凄く楽しめたよ。(純生)


ALL THE BEST FROM IRELAND / V.A.
 アイルランドの曲を20曲収録したオムニバス。ロックよりのトラッドはなく、ちょっとかったるい目の民謡のような、バラードのような曲が主体。そんな中にもCHIEFTAINSが演奏してそうな元気なジグもあったりする。私がこの中で超喜んだのは"Danny Boy"なるバラードです。THIN LIZZYの"Black Rose"は数曲のトラッドのメドレーを取り入れているのだが、その1曲が"Danny Boy"だそうな。"Black Rose"終盤のゆっくり目のギター・ソロのところのメロディと一致する、となんとな〜くわかる。ところで最近知った話ですが、"Black Rose"はギターが難しくてScott Gorhamは弾けず、全部Gary Mooreが弾いているとか; んあ〜。(純生)

VOICE OF ALTAN / ALTAN

 これまでに2度の来日公演をも行っているアイリッシュ・トラッドの最高峰に位置するバンドALTANの'95年リリースの日本編集のベスト・アルバム。2度の来日公演で5回はライヴを見ているのに、アルバムを買うのは初めてだったりします; 女性Vo兼フィドル奏者のMaireadをメインとする5人組です。Maireadはおばさんですが、お人形さんみたいなとっても綺麗な人です。オリジナル・アルバムでのインスト対歌ものの比は、7対3ぐらいなようですが(ライヴでは5対5ぐらい?)、このアルバムでは16曲中インストは4曲となっている。優しい透き通った歌声の女性Voが分かりやすい売りであるから、レコード会社の意向としてこのような選曲になったようです。が、歌ものが続くとちょっと不自然に感じますね。ま、歌ものの曲も、いい曲、ライヴで聴いた記憶のある曲があって楽しめます。"Dulaman"は軽快なテンポの歌もので、Voが更に軽やかに歌われている。フィドル・ソロが入るのもいい。ライヴでは「海藻の歌」とMCされていたのが印象的でした。"The Lass Of Glenshee"はピアノをバックに静かにでも力強く歌われるバラッド。心に染みます。力強くなっても、透き通った歌声に変わりないのはライヴでも一緒です。明るい歌メロの"Inis Dhun Ramha"も大好きな曲です。
 一方、ツイン・フィドルがメインのダンス・チューンには、どの曲でも心躍ります。目を閉じるとおねいさんのフィドルを演奏する姿が浮かんでくるから、なおさらなのですね。'94年に亡くなってしまったフルート奏者Frankie Kennedy(Maireadの夫でもある)の演奏が聴ける曲もあり、ちょっとしんみり。でも、バンドは替わりのフルート奏者を入れず、替わりにアコーディオン奏者を入れて頑張っています。なんてことを考えて、またしんみり。バウロン奏者として、あのDonal Lunnyもゲスト参加している楽曲もあります。(純生)