A WINTER GARDEN / LOREENA McKENNITT
 '95年リリース。日本では来日記念盤としてリリースされた5曲入りのクリスマス・アルバム。既存のクリスマス・ソングのカヴァーと彼女のオリジナルが一緒になっているけど、その違いがわからないほどに、彼女の曲として消化している。クリスマス・ソングというと、楽しいやね〜騒ごうやね〜というノリの元気溢れる曲というイメージがあるが、彼女が与えてくれるクリスマスは幻想的で神秘的で、忘れかけているクリスマスの真の目的を思い出させるような宗教的な曲でもある。いつもの彼女の歌だし、特にクリスマスを感じない。まあ"Jingle Bells"を能天気に歌ってもらっても困惑するけどな。ああ美しくも、しかし暗いクリスマスな。まっあんたにゃお似合いだよ。(純生)


THE FIVE SEASONS / FAIRPORT CONVENTION
 '90年リリース。FAIRPORTとの出会いは私にとって間違いなく大事件であった。わりと近年のアルバム。スリリングな展開なんてのは無縁だけど、ほのぼのして終始気持ちいいフォーク・ロックを聴かせてくれる。インストの"Cup Of Tea / A Loaf Of Bread / Miss Monahan's"はジグで、タイトルからもわかる通り元は3曲なのを自然に繋ぐことによって1曲のジグとして演奏している。ここら辺はもうCHIEFTAINSとも同じな。(純生)


IF I SHOULD FALL FROM GRACE WITH GOD / POGUES
 '88年リリース。アイルランド出身のShana MacGowan(Vo/G)を中心に結成されたバンド。ロンドン・パンクの猥雑なワイルドネスにアイリッシュ・トラッドの要素を大胆に導入したバンド、という紹介文に興味を覚えて買ってみた。POGUSとは「Pog Mo Thoin」というゲーリック語(アイルランドの古の言葉で、今でのこの言葉が話されている地域もある)を縮めたもので、言葉の意味は「Kiss My Ass」と同じ。1曲目"If I Should Fall From Grace With God"から、にやけてしまうぐらいの楽しいサウンドなのです。FAIRPORTのケルトのメロディを元気に走らせて更にロックにした感じ。アイリッシュとパンクとの融合とはよくいったものだ。Voは澄んだ声じゃなくて、「ギャー」とシャウトしてみたり、ん〜パンクっていいなあ。全曲こんな感じ。楽器はアコーディオンとか笛系のとか、古典的なのも使ってる。インストの純粋なジグもあったりするし、こりゃあ本物のアイルランド音楽を知るバンドです。あ〜とってもいいもの見つけてしまった。
 名曲らしい"Fairytale Of New York(ニューヨークの夢)"は女性Voとのデュエットによるしんみりと美しいバラードで、他の曲に比べるとかなり上品。でも、そんな中にも陽気なケルトのメロディが聞こえてくる。結構じ〜んと感動できる曲です。Christy Mooreなる'60年代から活動しているアイルランドの代表的な男性ヴォーカリストもカヴァーしてるとか。(純生)


RED&GOLD / FAIRPORT CONVENTION
 '89年リリース。来日公演でのメンバーによって作製されたもの。何度も言っているが、ケルトのダンス・チェーンの曲と普通のトラッド・タイプの曲に分けられる。前者は基本的にメロディは同じだけど、聴けば心弾む。とはいえ、初期のようなスリリングな展開というのはない。後者は心が入ればぐぐっときそうな曲もありそうだけど、今のところぐぐっとこない。(純生)


LIKE AN OLD FASHIONED WALTZ / SANDY DENNY
 '73年リリース。初期FAIRPORT CONVENTIONに在籍し、女性Voというだけでなくトラッドを持ち込み、その後のFAIRPORTの方向性を確立させたらしいのがSandy Denny。ブリティッシュ・トラッドの女王。'78年に他界している。FAIRPORT在籍前も音楽活動していたし、脱退後も4枚のソロ・アルバムを残している。これは3枚目のソロ。ゲストとしてFAIPORTのメンバーも参加している。歌声は透明感あるとかそういう感じではないし、そんなに魅力的ではない。抽象的な表現を無理やりすれば母親のようなやさしい歌声。彼女が評価されるのは、その作曲能力なのだろうな。様々な曲が並んでいるよ。ちなみにケルトのメロディは皆無。ということもあって、私は、もう充分かな(笑)。彼女のBOX SETを見つけているので、それ買ってこれ系統の好きな友人に自慢しまくるという行為は出費というリスクもあるし、仕返しに10倍ぐらいお返しの自慢されそうだし止めておこう。ケルト音楽が聞こえるFAIRPORTに引き返そう。(純生)


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