GODDESS OF TEARS / SILENT CRY
 ブラジルの女性Vo擁するゴシック・メタル・バンドの'00年リリースの2nd。暗くシンフォニックなサウンドで、ギターが奏でるメロディはとても流麗で、女性Voは清く正しく美しく、男性Voはデス声で邪悪…ほんとこのバンドはブラジルとは思えない、ノルウェーあたりのゴシック・メタル・バンドのレベルに達していると思います。逆に日本は…もっと頑張ってもらいたいとかいつも思うわけです。で、1stに比べると、格段にサウンドのクオリティが良くなっています。女性Voは大仰に歌うところは、なんかありがちでいまいち萌えてこないのですが、"Good-bye In The Silence"のように可愛く歌われてしまうと、めろめろになっちゃいます。    (純生)


SUFFERION HAMARTIA PRUDENCE / SILENTIUM
 さ、さ、さいれんてぃうむぅぅぅぅーー!!と新譜がリリースされる度に叫ばざるをえない、フィンランドの耽美派、暗黒叙情を頑なまでに貫く王道ゴシック・メタルの新作となる3rdです。今回は、なんと16曲、合計タイム68:00 という劇場映画を思わせるような大作的作風。1曲目、意味深なSEからこれまでとは幾分違ったものを感じさせますが、すぐさまピアノ、泣きまくるGt、弦楽器、女性Vo、クリーンVo、渇き系ゴシック・デスVo…と耽美ゴシックの必須アイテムを総動員して描かれるゴシック世界はモノトーン時がゆっくりと流れていくよう。例えるならば、ON THORNS I LAY『CRYSTAL TEARS』の辺り一面がすーっと色あせていくような色彩に、LACRIMAS PROFUNDERE の退廃的な空気と小さじ一杯の LACUNA COIL的トーンをまぶした感じとも言えるかもしれません。なんともゴシック・ファンのツボを知り尽くした味わい。なんて絶賛しましたけど、正直曲間毎に挿入されてるSEは人によっては多い&長いと感じる人もいるでしょうし、なんと言っても2nd(特に1曲目)で聴かせていた、Ha a A aa 〜! という空を舞う「天空ソプラノ」が今回も聴きたかったですね。正直半分以上これに期待してましたから(笑)。古典的な宗教色は薄めですが、しかしこのバンドならではの魅力はそのままに、そして、このバンド独自の演歌的ともいえるメロディ運び、リズムで、哀しみのワルツが踊られる舞台を見ているようでもあります。特に(6)"Heart Unyielding"が素晴らしいです。 (えれのあ)


WILL TOMORROW COME? / SIRRAH
 ポーランドのゴシック・メタル・バンドの'97年リリースの2ndにして、おそらくは最終作。このバンドはかなり重要な扱いをされていますよね。私はいまいち好きになれずに、感想書かずに寝かしておりました。シンセ入りで、曲展開が普通ではなくて、プログレっぽいとか言えばいいのでしょうか。私にはごちゃごちゃし過ぎているように思います。ま、それはこのサウンドの良さが分かってないから、出る言葉なのですが。ギターの音色がスペイシーでシャープです。ヴィオラ奏者もいます。そしてデス声と、男性普通声が交互に掛け合うように歌い、女性Voも入ってきます。元AT THE GATESのメンバーによるOXIPLEGATZに似ているかな。でもOXIPLEGATZの方がずっと好きです。変なことをやっていて、面白い曲はあるんですけど。ラストの"Floor's Embrace"はヴィオラが鋭く鳴ったかと思うと、ボコボコボコってデジタルな音が入ってきて、凄く変だ。けどいい! そして、メンバーはオランダに苺摘みのアルバイトに行ったまま、帰ってこないのでしょうか?  (純生)


SIGN FOR THE FALLEN / SUIDAKRA
 前作で日本盤デビューを飾った彼らの新作です。前作まででは、ひたすらにクサいギター・メロを武器としたヴァイキング・メタルと言った印象でしたが、今作では1曲目から、メロデス/デスラッシュの如く、疾走感溢れる仕上がりとなっています。最初は「をを??」とか思うものの、それが格好良いときてるから、何ら問題はなく、むしろ「よく成長してくれた!」と肩を叩いて賞賛してあげたいくらいかもしれません。前作ではパッとしなかったドラムの音質も、今作ではメロデス仕様に切り替わり、とってもタイトなドラミングを聞かせてくれますね。そして、相変わらずクサクサに健在なギターが実に素晴らしいです。メロデスに終始する事なくヴァイキング風味も備え、それでいてそこに留まらないような新感覚があります。何も知らない人がこれを聞いたら、きっと「ギターがクサいメロデス」とか思う事でしょう。それくらい、面白い仕上がりになっています。前作が出たなら、今作も日本盤を出すべきだと思います。いや、むしろ今作を出さなくては意味がない…とすら思える程に気に入りました。良盤ですよ。http://www.suidakra.info/ (chiha)


ONE WITH DARKNESS / TRISTITIA
 スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの'95年リリースの1st。HOLYレーベルからです。太くも高い声のVoがまずは特徴でしょうか。とても個性的な声をされています。サウンドはドゥームっぽく、ひたすら暗く。割と音の隙間が多いので、音的には重くはないのですが、雰囲気は重苦しいです。そこにシンセが入ってきます。あとは流麗なギターが印象的かな。アコギのイントロ"Sorrow"に続く"Kiss The Cross"は途中ブレークして、美しいソプラノ女性Voが入るのが、変でいいですね。いまいち地味な存在ですが、HOLYらしい個性的なサウンドを持つバンドです。TRISTANIAと間違えて買ってしまった人も満足できる?    (純生)