ORAMA / ON THORNS I LAY
 HOLYレーベル所属のゴシック・メタルバンド、'97年リリースの2nd。1stでは男性Voが歌うだけだったのに、このアルバムではVo兼Keyの女性が加わったことで、めちゃくちゃよくなった。そう1stはレポート未提出ですが、あまり印象に残っていません。この2ndではメインは男性のデス声ですが、ところどころで艶っぽいおねいさんが歌っている。そのおねいさん抜きでも、インスト部分と楽曲の完成度が高くなっている。透明感溢れるKeyが創り出す音世界がいいし、そこに切り込む強靱なギター・リフもかっこいい。何よりもメロディの美しいこと。それに女性Voが絡むのですから極上のゴシック・メタルと言えましょう。アルバム全体を通して、コンセプト・アルバムでもあるのか、印象的な同じメロディが異なる曲から聞こえてくる。ワン・パターンではなく、意図的にだろうけど。そこがまたアルバム、そしてバンド自体のオリジナリティを強調しています。日本であまり紹介されていない、いいアルバムを聴くごとに思うことだが、B!は輸入盤レビューで、わざわざ低い点数をつけてまで紹介するよりも、こういったのを紹介するべきです。流石はHOLY!と思うゴシック・メタルです。(純生)


REFLECTION / PARADISE LOST

 '98年リリースのベスト・アルバム。6枚のアルバムから17曲が収録されている。オシャレな現在からは想像つかないようなデス・メタル・アルバム1st『LOST PARADISE』からも"Rotting Misery"が収録されているのが嬉しいではないか(ちなみにアルバム未収録のリミックス)。選曲も大事なところをしっかり押さえてあるし、P.LOSTのマイブーム復活にはうってつけです。いや実際のところ、このアルバムはかなり聴きまくりました。特に出会いでもあった"Embers Fire"を聴いてしみじみとしてます。"Forever Failure"はシングルのヴァージョンが収録されている。未発表の最新ライヴも3曲収録されている。『ONE SECOND』からの曲は当然軽いリズムで演奏され普通声で歌われているが、名曲"As I Die"が重量感なく演奏されているのは辛いものがあります。また何度か出てくる「As I Die」と歌うところはオーディエンスも一緒に歌っていないといけません。って声が小さくて聞こえてこないだけかも。オーディエンス録音のブートの聴きすぎか。(純生)


HELL SYMPHONY / ROOT
 CACOPHONOUSレーベル所属のブラック・メタル・バンド。ただしサウンド的には、デスラッシュのような感じ。重厚なコーラスのブラック・メタルらしい部分もあるが、ドラムの音がやたらタイトでいい音での速い曲の方が印象的。ただルーズな曲調の方が多いのが残念。全曲突っ走っている方が良かった。地獄には俗世で期待するようなシンフォニーは存在しないようです。(純生)


INFIDEL ART / SIGH
 日本が誇るブラック・メタル・バンドSIGHの'95年リリースの2nd。イギリスのCACOPHONOUSレーベルからのリリース。全6曲で50分。そう曲は長いのです。メロディアスで流れるようなHMチックな展開から始まっても、途中には暗黒なオーケストレーションがはまっていたり、ピアノ・ソロがあったりと、この時点で'97年リリースの『HAIL HORROR HAIL』の序曲のような、凄まじい作り込み、実験的なことをやっている。いや、『HAIL HORROR HAIL』を聴くとこれがSIGHとして必然であって、実験的という言葉は相応しくないですね。ただし、サウンド面のチープさとか、ギターのリフがルーズで単調だったりとか、ブラック・メタルらしい部分も感じる。でも私は、意図的にやっているのだろう!とか好意的にとってみたりして(汗)。"The Last Elegy"はイントロのフルートをメインにしたオーケストレーションが超本格的なのがいい。サビでもシンセがばりばり入ってくるしね。ここまで音をいじっているブラック・メタルは世界にも類をみないでしょう。もちろん、そのルーツとしてCELTIC FROSTの存在があるのだろうけど。そうジャケットこそ浮世絵という日本を感じさせるものだが、やっていることは日本の規格外だ。(純生)


SEVEN ROOM / SUP
 ベルギー出身の4人組のゴシック・メタルで、以前はSUPRATIONという名前で2枚のアルバムをリリースしていたようですが、HOLYレーベルに移籍しての新作がこれです。ちなみにSUPRATIONのアルバム1枚もリミックスしてHOLYからリリースされてます。普通声とデス声のダブル・ヴォーカルです。テクノっぽい作りのデジタル的なゴシック・メタルというのだろうか。ザクザクとしたリフにヘヴィな部分もあるけど、音がとてもクリアです。独特の変な音世界を持っている。印象に残るメロディが溢れているけど、愛聴するレベルまではいかないかな。(純生)