WIDOW'S WEEDS / TRISTANIA
 ノルウェー出身の女性Voを擁する6人組のゴシック・メタル・バンド、'98年リリースの1stフルレンス・アルバム(未聴ですが、これの前にミニがリリースされています)。建築物の白黒写真という地味なジャケットで損をしていますよ。私も何度も手にとりながらも見送っていたし。やっと買って聴いた。教会の鐘の音のイントロとシンクロするように賛美歌を歌うような美しいソプラノ女性Voが入ってくる。これでまずは合格だ。本編はKeyを効かせた典型的なゴシック・メタル。デス声も入るしで、2ndまでのTHEATRE OF TRAGEDYタイプと思ってもらえればいい。ただここの女性VoはLiv嬢よりも、もっとオペラチックな大仰な歌い回しをしているかな。うんうん、ここまでだったらありがちな女性Vo入りゴシックなのですが、このバンドは曲の出来が素晴らしいのです。名曲揃いで、しかも曲のタイプがはっきりと違うのがいい。"December Elegy"での切ない歌メロはとても印象的で心打たれます。そして曲がブレークした後の後半はヴァイオリンによる泣き泣きの大盛り上がりの展開が待ち受けている。"Angellore"はイントロこそヴァイオリンの泣きが入るが、メロディはもろにSISTERS OF MERCY風の上品な作り。ただし単調でなく、ドラマティックな展開に仕上げているところがいい。ともかくイントロの情熱的なピアノに殺られてしまうのが"My Lost Lenore"です。高らかに歌い上げられる歌メロにもじーんとくるものがあるが、力強いピアノのメロディがひたすら素晴らし過ぎます。アルバムのラストも教会の鐘の音と落雷、賛美歌で終わるという流れもいいです。黒いロング・ドレス姿のVibeke嬢は美声に加えて美貌も兼ね備えている。新たなるヒロインの出現だ。(純生)


CRUCIDICTION / TRISTITIA
 スウェーデン出身の3人組ドゥーム・ゴシック・バンドの'96年リリースの2nd。HOLYレーベル所属です。鐘の音で始まるイントロ。宗教曲のような男性Voが入り、ドゥーミィーな演奏と共にふわふわしたソプラノ女性Voが入ってくる展開は素晴らしい。本編では女性Voは入ってこない。ゆっくりとしたサウンドに、朗々とダンディなゴシック声で歌ったり、それがデス声になったりする。ギターのメロディが美しいのがいい。いや、なんか不気味さもある。透明感がある音色で、どの曲でも同じ音色を保っているので、それがそのままTRISTITIAの個性になっている。バックがドゥーミィーだからこそなおさら映えるんだろうね。個性派揃いのHOLYの中では、私の中では目立たないけど、それでもどこに出しても恥ずかしくない立派なオリジナリティを持っている。(純生)


AS WE DIE FOR...PARADISE LOST / V.A.
 HOLYレーベルより、やっとPARADISE LOSTトリビュートがリリースされました。HOLY所属の個性溢れるバンド達が、P.LOSTの原曲を壊しながらもメロディの良さを残していることで、非常に真面目にカヴァーに取り組んでいることが伺える。そのまま、サンハイで単に演奏しだけのカヴァーなんて一切ない。P.LOSTも凄いのだが、HOLYのバンド達はもっと凄い。というわけで全曲にコメントを付けていきます。フィンランドの打ち込みブラック・メタルGLOOMY GRIMの"Say Just Words"はメロディは残しながらも、やはりテクノっぽい打ち込みをしつつ、でもオリジナルよりもギターを暴れさせていることで、アグレッシヴなバージョンになっている。サビを歌う女性Voがまたいい味を出している。既にCENTURY MEDIAに移籍してしまったイスラエルのゴシック・メタルORPHANED LANDの久々の音源となる"Mercy"は、シタールのような民族楽器の弦楽器がギターの代わりを務めていて、淡々と歌う部分と、サビの部分では女性Voを加えてオリジナル通りに盛り上がる部分の対比が面白い。民族楽器風なサウンドとスペイシーなテクノ風サウンドが同居しているのも面白い。ソロでの浮遊しそうな中近東風な空間もいい。やはりORPHANED LANDは凄まじいオリジナリティを誇っている。HOLYの中でも超強烈だ。私はこの曲を聴いた後に彼等の2ndをしばらく聴かない日はなかった。ギリシャのゴシック・メタルSEPTIC FLESHの"The Last Time"は、わりとオリジナルに忠実なのだが、音の作り方、ドドド…というヘヴィな部分はしっかりと個性を出している。しかし、ここには素晴らしいオペラ女性Voがいるというのに、聞こえてこないのが非常に不満です(歌っていないのか?)。HOLYの社長率いるフランスのゴシック・メタルMISANTHROPEは変態的な音の構築に彼等の個性が出ていていい。途中から走り出すピアノがいいです。ギリシャの女性Vo入りゴシック・メタルON THORNS I LAYの"True Belief"は彼等独特の音で演奏されており、押し殺すように歌われるディープなデス声と美しい女性Voのデュエットになっているのがいいです。フィンランドのブラック・メタルLEGENDAの"Embers Fire"はオリジナルよりももっと幻想的でシンフォニックなKeyのイントロ…しかし続いて始まるのはオリジナルの3倍速ヴァージョンで、Voの雄叫びとともに、あっというまに走り去っていく。私の大好きな曲、地に足を付いてしっかりと力強く演奏される曲なのに…それを見事にぶち壊してくれた。LEGENDAの個性が出ているとは思えないが、これはアイディアの勝利です。ギター・ソロなんか、速いけどオリジナルに忠実なのもいい。新人バンドと思われるARGILEの"As I Die"は楽器の繊細なメロディの使い方がいいです。彼等のアルバムも期待できるかも。ノルウェーのドゥーム・ゴシック・プロジェクトGODSENDの"Gothic"は彼等本来のサウンドではないところは不満だ。1人のプロジェクトなので、どうでもいかもしれないが、主要のサポート・メンバーであるDan Swanoが不在なのだ。しかしながらTHE 3RD AND THE MORTALの女性Voの姉妹が在籍するATROXと、BLOODTHORN(知らない)のメンバーの参加により、オリジナルの良さをそのまま拡張したような出来になっている。面白さという点では不満だけど。フランスのトラッド・バンドSTILLE VOLKの"The Painless"は非常に妖しい。彼等本来のアルバムでは使われていないノイジーなギター・リフに、パイプ系の楽器、フィドルが絡んでくるのです。なんとも不思議なトラッド・メタルに仕上がっている。オリジナルもこれだけかっこよければいいのだろうけどねえ。フィンランドのゴシック・メタル・バンドYEARNINGの"Eternal"は彼等の幻想的なKeyに囲まれたサウンドとアレンジ、ダンディで力強いVoという個性がそのまま生きている。ギリシャのゴシック・メタルNIGHTFALLの"Lost Paradise"は彼等本来のサウンドではない。楽曲のサブ・タイトルにもAldous Huzley Approachと付いているが(その意味は不明)、オリジナルをまるで違った解釈で再アレンジしているという点では妖しくていい。繊細なピアノに、天高く登っていくような、でも力の入った女性Voがいい。最後のベルギーのデジタル・ゴシックSUPの"Rotting Misery"はデス・メタル時代のP.LOSTの1stの曲を、現在のP.LOSTのようにテクノ風にアレンジしているのが非常に面白いが、このテクノ風というのは単にSUPのフィールドの中で自然にアレンジされたものなのです。(純生)


PRESUMED GUILTY / V.A.
 イギリスのMISANTHROPYレーベル(GLFENBLUT, HEROINEレーベルも含む)の'98年リリースのサンプラー、14バンド14曲収録。未発表曲も多い。IN THE WOODS...はわりと知られるゴシックです。けど私は聴くのは初めて。イントロの女性Voの嘆き声っぽいVoが怖くもあり、色っぽくもあり。ダーク・ウェイヴ的な雰囲気の楽曲だが、その輪郭がはっきりしないアバンギャルドさもある。これはやっぱり買いでしょう。ケルティック・メタルのPRIOMORDIALはCACOPHONOUSレーベルを離れて、このレーベルに移ってきたのですね。ここで聴くことのできる新譜からの曲は、繊細なアコースティック・ギターのリフが力強くもあり、メロディはトラッドも入っていて、上品なヴァイキング・メタルといった感じ。でもケルティックという感じはあまりしないのは相変わらず。犯罪者BURZUMは未発表曲収録。私はレポート未提出ですがアルバム3枚聴いています。チープな楽器の音も、独特のメロディ・ラインも、Voの吠え方もBURZUMとしてのサウンドを確立できているところが凄い。ここの曲も一聴して、ああBURZUMだとわかります。殺されちゃった側のMAYHEMが一緒に収録されているのも、凄いものがあります(汗)。でもMAYHEMには魅了されないんだよね。アンビエント系ゴシックのAMBER ASYLUMも未発表曲で、ふわふわした女性Voがトラッド曲をアカペラで歌っています。MADDER MORTEMは女性Voを擁するゴシック・メタルで、アルバムのリリースはこれからのようです。メタルっぽい展開から繊細なアコースティックなパートに切り替わるという楽曲、それと女性Voの表現力はなかなかのもの。要注意かな。トロンボーン入りゴシックとして話題になった(なってない、なってない)BEYOND DAWNの未発表曲は、暗いのだけど、行進曲のようなテンポの曲で、トロンボーンもぽわぽわと入っています。うんこれが新曲なら、今後も要注意。以前紹介したEMPERORのSamothの奥さんHAGLAZ' RUNEDANCEも収録。とまあ様々なタイプを収録しているが、メタルの範疇に入らない暗い音楽に偏っているし、全体に言えることは妖しいということ。(純生)

THE ELDEST COSMONAUT / SEPTIC FLESH
 ゴシック専門のHOLYレーベルを代表するギリシャ出身の4人組ゴシック・メタル・バンドの'98年リリースのシングルCD付きのビデオです。1曲のビデオ・クリップだけで4th『A FALLEN TEMPLE』からの曲です。さて、おお!SEPTICが動くのか〜というわくわく気分でビデオを見ました。期待通りの暗い雰囲気の映像でミステリアスなイメージを維持してくれている。アルバム・ジャケットの仮面を被ったヌードの女性は出てくるし、メンバーは頭を振りながら演奏しているし、デス声Voの演技の入った歌い方もいい。何よりも女性VoのNatalieの黒いロング・ドレス姿で歌うたたずまいが絵になっていていいっす。ただただ美しいです。これ見てから彼女には今まで以上に愛情を注いでいます。SEPTICのサイトでクリップの画像をダウンロードしてきて、今はWindowsの壁紙に彼女がはまっています。画像が大きすぎて、ロングドレス姿の足元まで画面に入りきらないのがちと不満ではありますけど。…まあ、暗い画像なので、細かい粗が見えなくていいというのもありますが。ちなみにビデオはPAL方式ですが、ディスク・ヘルではVHSにダビングしたものも付けてくれます。
 シングルCDは4曲全てが未発表音源で、タイトル曲のVideo Remixに、『A FALLEN〜』に収録されていた"Underworld Act1", "Act2"に続く"Act3"…この曲はバンド本来のサウンドとは違いノイジーなメタルな部分はなしの、オーケストレーションにKeyがバックで、オペラ隊が歌うという楽曲。ただしNatalieも歌っているというもの。"Act1"も"Act2"も素材は一緒だけど、全然違う曲でしたが、ここに収録されている"Act3"もまた別の曲でした。未発表曲"Finale"も"Underworld"路線の曲です。"Woman Of The Rings"のRemasterdはHOLYレーベルのコンピに収録されていたSEPTICのアルバム未収録の曲です。SEPTICらしい、メロディがはっきりした楽曲です。というわけでシングルの内容も超充実している。(純生)