WITHIN THESE DREAMS / HEAVENWARD
 今だから気軽に口にするけれど、ひと昔前までドイツ出身のヘヴィ・メタルバンドに対して偏見があったような気がする。実際、ツーバス疾走+ツインリードG+あまり上手くないヴォーカル…といった共通アイテムによって組み立てられたメタル・サウンドは、飽きやすいものだったのは間違いない。でも、ジャーマン=カッコ悪いという、変な固定観念があったのも事実かも。聴かずぎらいというやつ。でも、揺り戻し現象というか、最近あらためてこの手の音を聴くと、意外と面白かったりするんですよね。何より分かりやすい。大量のアルバムを消化することが習慣化している(しなくてもいいのだが…笑)私にとっては、1回目で覚えちゃうサウンドというのは、好感を持ってしまうのです。前置きが長くなったが、このHEAVENWARDはドイツ出身の5人組メタル・バンドで、このファーストリリース当初はQUEENSRYCHEフォロワーのひとつとしてカウントされたようだ。事前に聴いていたセカンドの『A FUTURE WORTH TAKING ABOUT』が異常につまらない作品で、ヴォーカルも下手の一言に尽きたのだが、このファーストは「意外と良いよ」という情報をもらっていたので迷わずチェック。本当に、こちらの方が数段楽曲の出来が良い。当然、音質はチープだし、B級メタル以外の何者でもないのだが、歌メロがキャッチーに作ってあって(「くさい」という表現がふさわしいのだろう)、それに乗ずるかのように楽曲もドラマティックにアレンジされている。(3)"Cold Embrace"、(5)"Holding The Key"といったあたりは、SCANNERとかSTORMWITCHのファンには好感を持って受け入れられるナンバー。メンバーの写真、ジャケットの具合も怪しくて良い。   (hatch)


TWICET OF FATE / NARCOTIC GREED

 すらっしゃあさんが既にレポートしてくれている大阪のパワー・メタル・バンドの'01年リリースの2nd。スラッシュ・メタルと紹介されているコトもありますが、私は全然スラッシュという感じしない。複雑怪奇なプログレッシヴ・パワー・メタル? で、このアルバム、日本のバンドのアルバム聴いて、久しぶりに驚きました。今年のベスト・アルバム10には入れたいつもり…という気に入りようです。何が凄いかって、ハイトーンVoが凄いです。暴れまくり。どっかに飛んでいってしまいそうなぐらい。巧いです。ぞくぞくさせてくれます。そして、楽曲も曲展開があって、非常にかっこいいです。このプログレ・メタルな展開と、この超巧いVoから、私はSALEM(イスラエルのではない)を思い出しましたよ。って、SALEMはVoはめちゃくちゃ巧くなかったけど。しかし、残念なことに、Voは既に脱退済みとか。このラインナップで東京でも一度?ライヴをやっており、見のがしたことが非常に悔やまれます。こんな凄いVoを失ってしまって、このバンドはどうなってしまうのでしょうか。ホームページによるとHYDRAのVoがヘルプとして参加して、ライヴ活動を行っていくようです。なお、私が買ったのには2曲入りのテープがついてました。LOUDNESS"Esper"のカヴァー入り。http://members.aol.com/sen6666/ber.html  (純生)


BEHIND ENEMY LINES / RECON
 カリフォルニア出身の5人組。あまり深いことを考えずに、たまたま記憶していたジャケットのアルバムが安かったのでチェックしてみたのだが、その内容は「QUEENSRYCHEタイプ」で「クリスチャン・メタル」という、私がちょっと気にしている条件を2つも満たしているバンドであった。整合感が最も必要とされるサウンドでありながら、楽器間のバランスも音質もイマイチで、テクニック的にもちょっと…と思う箇所があるので、典型的なB級QUEENSRYCHEフォロワーと言えるかもしれない。でも、楽曲の出来…というかメロディ・ラインは決して悪くないので、私は結構楽しめた。ドラマティックさを演出するにはテク不足という気がするが、メロディ展開はドラマティックな要素を持っている。何かひとつでも良い所があれば聴ける、という人であれば許せる内容だろう。言い方を変えれば、磨かれざるダイアモンドの原石ということか…。すでに8〜9年前の作品('93年作)だし、そんな表現をしても今さらになってしまうのだが、微笑ましく聴けて楽しめる作品であるのも確か。歌詞はろくに読んでないし、内容を追っかけるつもりもないのでよく分からないが、牧師の紹介文を掲載しているほどだから 、クリスチャン・ソルジャーぶりは相当なものなのだろう。異常に力のこもった音の雰囲気も、ハチャメチャなエネルギーにあふれているという感じ。  (hatch)


SPREAD EAGLE / SPREAD EAGLE
 ニューヨーク出身の4人組ヘヴィR&Rバンド。'90年発表のファーストアルバムと思われる。アナログ、CDとも中古盤では常連だし、ほとんど話題にもならないバンドだが、つい買ってしまった。「もしかしたら良いかも?」という出来心(?)というやつでしょうか。GUNS N' ROSES症候群というか、'80年代後半のR&R寄りハード・ロックバンドというのは本当に数が多い。その手のバンドについては、当時も興味が無いわけではなかったのだが、購入がとても追いつかなかったので、今中古盤を100円で買っているというわけ。当時を懐かしむ…という要素が多分にあるものの、あらためて聴いてみると、これが意外に高品質なことをやっているのだ。メジャー・レーベルが青田買いしていた時期だから、各バンドとも一応メジャーから出ていて、それなりのサウンドを作っている…ということが大きいかもしれない。このSPREAD EAGLEの場合は、比較の対象から行けばSKID ROWだろうか? 全体的にバッド・ボーイズ風の雰囲気を打出しているようだし、エネルギッシュなサウンドもそれに近いと言えるかも。大御所と比較するのが失礼なら、SVEN GALIとかもありますが…。数曲では、'90年代の先取りしたかのようなヘヴィネス強調の曲もあって、ふーんという感想も漏れてくる。とりあえずA(2)は気に入った。これ以外にも、あと1〜2枚出ているはず。  (hatch)


TRASH BROADWAY / TRASH BROADWAY
 最近はREIGN OF TERRORというバンド名義で、様式美寄りのパワー・メタルを実践しているジョー・スタンプが在籍していた4人組。このバンド名義では恐らく唯一のアルバム('89年作)だ。名前が知れてきたのは'90年代後半だから、ネオ・クラシカル系のギタリストでも新派の一人と見られがちだが、ルックスを見て分かる通り(?)、やはりそれなりのキャリアの持ち主だった。基本的にはちょっとハード目のLAメタル…というような曲調で、特にヴォーカルのスタイルはまさにそれ。ジョーのギター・プレイも、バッキングやっているときはオーソドックスなのだが、やはり…というかソロにおいては整合感のあるクラシカルなフレーズをバシバシ決めている。歌ありの部分と、ソロとでの落差が大きい…という意味では、イングヴェイのSTEELERとかDR.MASTERMIND等を思い出してもらえると分かりやすい(?)かも。アンバランスという意味ではB級なのかもしれないが、これはこれで面白い。アルバム中1曲だけ収録されているインストは、やはりカチッとした構成のフレーズを中心に組み立てられた早弾きギターの曲で、結局こういうのがや りたかったのだな…と思わせる。'80年代末期らしい、クリーンでありながら適度な重さが加わったサウンドについても、まずまず好印象だった。ヴォーカルの表現力不足が残念だが、私はまあまあ楽しめました。(hatch)


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