BLACK WINGS / WOLF
 スウェーデンの4人組による、IRON MAIDENからの影響が超多大な正統派HMバンドの2ndフル。「IRON MAIDENに似ている」というより、本当にそのままです。というか、手本にしつつも自分達の持ち味の出し方を色々工夫しながら頑張っている、という感じなのでしょうか。それでも、初めて聴いた時には、完全なるMAIDENフォロワーにしか聞こえませんでしたが…ツインギター、リズム隊の動きはどれをとってもMAIDENそのもの。冒頭の"Night Stalker"を聴けば一目(一聴?)瞭然。しかし、輸入盤としては音質も良好で、正統派HMとしてのクオリティもなかなかで、これは面白いバンドです。難癖をつけるならば、Voですね。ブルース・ディッキンソン・クラスとまではいかなくても、もう少し表現力とパワーのあるVoなら、もっと上を目指せるのではないかと思います。あとは、1st同様ジャケが…って感じなんですよね(笑)。良いバンドではあります。   (chiha)


大熊小鹿馬場鶴田山田康雄 / V.A.
 かの蛸殴総本山も参加している、「殺害塩化ビニール」のカヴァー集第4弾(らしい)です。参加しているバンド名と、選曲があまりに面白いので、載せときましょう(笑)。
01.CYBER PROJECT:星降る街角(敏いとうとハッピー&ブルー)
02.蛸殴総本山:MARIONETTE(BOφWY)
03.ウラミ観音DEATHテクノ:おっとCHIKAN!(おニャン子クラブ)
04.死ね死ね団:少年死ね死ね団-SLIGHTY DRUNK-(SQUEEZE)
05.臭井堅(KEN@毒テロ名誉会長?):モンキ〜な平井堅-大きな古時計-(平井堅)
06.ソープランド揉美山:破滅に向かうドラムソロat TokyoDome(X(エックス))
07.バロムワン:PETER PIPER(RUN-DMC)
08.殺悪愚/SAAG:欲望の街「難波金融伝ミナミの帝王主題歌」(竹内力)
09.女子高生みゆきVS淫獣皐月殺助:魔女っ子メグちゃんAV(アニメ「魔女っ子メグちゃん」)
10.百日紅呑海:タッチ(岩崎良美(マノン))
11.QP-CRAZY:Honey Dripper(アンルイス)
12.髑髏首:大きな古包茎-大きな古時計-(平井堅)
13.新沼GENJI:イヤーンバカーン(無恥鞭アナゴ)
14.鬼×:ミカドロイド帝國陸軍極秘計画(映画)
15.葛西純feat.トリカブト:みなしごのバラード(アニメ「タイガーマスク」)
16.四日市ぜんそく:勝手にしやがれ(沢田研二)
17.アックスボンバー:りんごの唄(美空ひばり)
18.ザ・マッドエース:“0”(LOVE PSYCHEDELICO)
19.毒殺テロリスト:大きな古時計-Giantdickジジィフルバージョン-(平井堅と毒殺テロリスト)
 予想したとおり、破壊的なアレンジが多いです。03.なんか、元曲をサンプリングで最初と最後に入れている外は、勝手に作ったテクノサウンドをやってて、なんかカヴァーといえるかどうかも疑わしいですね。それと、"大きな古時計"を独自の解釈?で3バンドがやっていますが、いずれも下ネタ炸裂の歌詞にかえています(…)。そのような中で、カッコ良くメタルアレンジした02.や、メロディを紡ぐバックに、濁声Voが乗る11.(昔、BRUTAL TRUTHの演った"Lord Of This World"を思い出しました。)、ハードコア・アレンジがカッコイイ16.なんかはなかなかマトモな人にもおすすめできます。それから、ある意味ニヤリとさせられたのが09.。超有名なアニメ主題歌ですが、歌の素人の女子高生をVoに据えて、スピーディなバックにカワイイ声が乗ってる音そのものもさる事ながら、タイトルに「AV」と入っているとおり、間奏での素人出演AVの冒頭部を思わせるやりとりが楽しいです。…というのも、この「魔女っ子メグちゃん」というアニメは子供向けの割に結構Hなシーンが多く、子供の頃に親とは一緒に見ると気まずくなるアニメの一つでしたので、こういうアレンジはなんとなく親に隠れてこっそり見ていた、昔の思い出をフラッシュバックさせてくれましたので…ただ、ハッキリ言って万人に薦められる作品ではないです。そのことだけは強調しておきます(爆)。p.s ところで、10.の「百日紅呑海」ってどう読むんだろ? (装甲列車)


LEGEND FROM NOW AND NEVERMORE / GALLOGLASS
 ジャーマン系メロディック・パワー・メタル・バンドの駒が豊富なLMPより'03年1月にデビューを果たしたドイツはハノーヴァー出身の5人組です。アルバム全編のどこかをランダムに30秒も聴けばすぐにそれとわかるジャーマン臭満載で疾走しまくるxametaler垂涎の一作に仕上がっています。すでにデビュー前からその手の界隈では話題沸騰で、1月下旬に輸入盤が入ってきたのですがどの店も店頭に入った瞬間に売り切れているようです。ジャケットの絵でもわかるように、ドラゴンが全編にわたって活躍するエピック・ストーリーがメイン・テーマです。が、いわゆるRHAPSODYやその一連のフォロワーのように、なんでもありなシンフォニックなアプローチはとっておらず、あくまでサウンドの要はギターとヴォーカル・ラインであるようです。唯一ストーリーを盛り上げるのに使われている楽器がヴァイオリンとチェロなのですが、このバンドはメロディ・ラインにフックがあるのでこれで十分だと思います。それでも、聴き始めた最初の2,3回は(1)のキラー・チューン以外は、ジャーマンクサい雰囲気は出てるんだけど、なんでかあんまり耳にメロディが残らないよなぁ、なんて思いながらリピートしていました。これは、VoのCarsten Frankの力量不足が主な原因かと思います。決してメロディ・ラインを外すことはないのですが、この装飾の薄いサウンドでは抑揚のない平坦な歌い方と、声量のパワー不足が少しこたえました。コーラス・ワークもすこしパンチ力が足りないように感じます。ついでにもうひとつけちをつけると、ウワモノのツインギターも、堅実ですがいまひとつ感情表現にもう少し伸び代があるような気がします。とはいえ、新人でここまでのものを作り上げてきた彼等はやはり間違いなく非凡なモノを持っていると思うし、xametalerにとっては避けて通れない1枚なのは確かです。ハイレベルな1枚ゆえに注文もたくさんつけましたが、個人的にはSONATA ARCTICAの新譜よりも気に入っています。        (かるび)