25TH HOUR; BLEEDING / THE PROVENANCE
 美声フィメールヴォーカル&男性デス声の5人組メロディック・ゴシック。久々にこんなに「当たりだ!」と思えるものを聴きました。ヴォーカルの女性はかなり上手いですし、フルートやハモンドオルガン、キーボードもこなしています。このフルートやキーボード等の使い方がまた素晴らしいです。柔らかい声質で美しいメロディを辿り、少しミカエル・スタンネ(DARK TRANQUILLITY)似のデス声が応える。時々男性普通声も入りますがこれも上手いと思います。カヴァーアートもメンバー自らが手がけているようです。一聴の価値有り! (keisi)


FUTILE / RAPTURE
 おそらくフィンランド出身のKey入りゴシック・メタル・バンドの1st。SPIKEFARMレーベルから。同レーベルのSHAPE OF DESPAIRと同系と言えるかもしれません、遅く暗くでも美しいメロディは溢れている。こちらの方は力強いデス声の男性Voのみで、もっと分かりやすいメロディが映えているかな。ギターの奏でるメロディがいかにもゴシック・メタル!という感じで、引き込まれていくようにいいなあ。滅入るようなメロディではあるけど。遅く曲だけでなく、ちょっと速い曲なんかもあるのも魅力的。アコギが絡む曲もあります。どの曲も似通っているかもしれないけど、どの曲にも共通するこのバンドとしてのサウンドが確立されている!と前向きに受け止めておこう。ずばり名盤です。 (純生)


ETERNAL / SAMAEL
 スイスの4人組による'99年発表の5thです。ミュージシャンズ・ミュージシャンと言う言葉がありますが彼らの独創性はヨーロッパでは他のアーティストが語る機会が多いようで、まさにそれと言えそうです。この5thがDEEP PURPLEなんかが使ってたMontain Studioで、エンジニアリングとミキシングにはQUEENROLLING STONES等を手掛けたDavid Richardsを迎えて作られている所も、そう言った高いステイタスを裏付けるものなのでしょう。前作『PASSAGE』とミニ・アルバム『E.X.O.D.U.S.』の次に当たる作品で作風は大して変っていません。逆に前々作『CEREMONY OF OPPOSITES』とは音像の違いがハッキリしています。デス声と普通声がどちらも押し殺した感じで歌われているVoを含め、すべてパートが金属的反響音、いわゆるプレートリバーブの中で鳴っている感じで、まるで銭湯の中で演奏してる見たいですが、打ち込みのドラムもアトモスフェリカルな鍵盤も歪んだギターも調和されて効果的な雰囲気を作り出しています。個人的にはジャケ画のイメージも手伝ってか宇宙的、未来的といった表現が似合う音だと思いました。アルバム通して鳴っているシンセサウンドと切ないサビの歌メロが、ある意味整合性を感じさせ例えようの無い実に素敵な演出をしつつ、ザクザクと刻むギターと圧力感溢れるベースが彼らの持つ味と言うか、らしさを奏でている感じがします。そして、楽曲がどれも同じじゃん!なんて思わせない所が、また彼らの凄い所だなと思います。私とっては捨て曲無しです。特筆するならば、1、5、11曲目です。まず1曲目の"Year Zero"イントロからインダストリアルっぽいドラム音と共に「ウッハッ、ウ、ハッ!」と気合いの入ったスタッカートなコーラスが聞えて来ます、少林寺の門の前にいる感じでインパクト絶大です。また、5曲目"The Cross"などは、それこそ宇宙的なフィーリングを脳裏に映像化させてくれるような音で切ないピアノが印象的なのと無性に悲しい感じの唄メロが◎、11曲目の"Being"はモダン・ジャズ(良く知りませんが)っぽいリズムに転調したりする一風変った事を不自然さを感じさせずやっています。そんなこんなで、とてもお気に入りの1枚です。好きなだけに些か誉めちぎり状態ですが、MOONSPELLなどの都会派ゴシックが御好きな方ならチェックして欲しいです。オフィシャル・サイトが音信不通で、ちょっぴり心配ながらメンバーが最近MY INSANITY『SOLAR CHILD』制作に関わったようで、これもチェックしたい今日この頃です。  (Atch)