DISAPPOINTMENT BLUES / THE HELLACOPTERS
このパンドが出てきたとき、「どーせ軟派なR&Rやろ…」と軽く見ていました。しかし、そのうちリーダーのニッケ・ロイヤル(Vo&G)なる人物があのENTOMBEDのドラマー、ニッケ・アンダーソンその人と知って「ほう…」、本作でMOTORHEADのカヴァーをやっていることを知って「ほほう」って感じで、興味を持ち始めました。ちなみに、新作アルバム『GRANDE
ROCK』のアナログ盤では、VENOMの"Angel Dust"のカヴァーまでやっています。大体これで、このバンドの「体質」が知れそうですね。ライヴに行った人のお話では、客も殆ど男ばっか、そのノリも暴れっぱなしってな感じだったそーですから…。で、本作ですが、八方破れの暴走・爆走サウンドのみならず、若干テンポを落したり、キャッチーな作風も顔を覗かせているものの、全編に渡って基本に流れる雰囲気は、MOTORHEAD,
TANK, RAVEN, VENOMといった先達の暴走ロッカーを充分に思い出させるものです。特にちょっとパンキッシュで、力攻めで押しまくるとこなんざ、TANK命!!の私には嬉しいことこの上ない至福の音であります。しかしながら、(TANKもそうでしたけど)激烈なサウンドの中にも、ところどころに翳りのあるメロを入れてくるところなんか、やっぱ北欧の人たちなのですね…。タイトル・トラックの"Long
Gone Losers", "Speedfreak"(MOTORHEADのカヴァー)といった「いかにも」という曲もさることながら、ちょっとHANOI
ROCKSの影も見え隠れしそうな"455 SD"(でも、誰かのカヴァーみたい)なんかも魅力的ですね。
(装甲列車)
MILLENNIUM METAL-CHAPTER ONE- / METALIUM
SAVATAGE, VELVET VIPER等のメンバーによるプロジェクトらしい。なりふりかまわない思いっきりのいいB級ジャーマン・メタルは好きなタイプなので喜んで受け付けますが、きっとダサいと思う人も多い事でしょう。スピードで押し捲りの"Void
Of Fire"とサビのクサさが天下一品の"Free Forever"が光っていて、それ以外は平均的な出来なのに充分に満足してしまいました。
(Bitter)
STEEL THE LIGHT / Q5
彼らの場合、チューニングの狂わない(狂いにくい)トレモロ・アーム・システムを開発したフロイド・ローズのバンド、という点にばかり注目が集まりがちだが、1stとなる本作('85年発表)はメロディック・ロックの名盤だったりするのである。A面2曲目"Lonely
Lady"の完成度は、それこそ異常。メインとなるギターのメロディ、歌メロともにメロメロで、しかも曲調はハードにドラマティックに仕上げている…という具合。ギター・ソロはお約束というか、「俺がフロイドローズだ!」と言わんばかりにアーミングをうぁんうぁんと派手に決めている。まあ確かに、この1曲だけという話がないでもないが、アメリカンHR好きであればアルバム全体に好印象を持つかもしれない。同じLA系の同胞たちを例に取るなら、STRYPER,
HURRICANE, KING KOBRAといったところと共通点がある。VoはGIUFFRIAのデイヴィッド・グレン・アイズレーにも似た、割とざらついた声質ながら、歌唱力は無難なレベル。彼らは'86年に2nd『WHEN
THE MIRROR CRACKS』を発表後自然消滅するが、VoとGの片割れ(フロイド・ローズは不参加)は'92年にNIGHTSHADEなるバンドで1枚アルバムを発表している。ちなみに'86年の2ndは、よりハード・ポップ寄りの方向性(GIUFFRIA化?)に至っているが、"Lonely
Lady"のようなキメの曲がないのが痛い。またNIGHTSHADEの方は心機一転、正統派HM調の曲で固められており、中にはQUEENSRYCHEを思わせる曲もある。なお本作『STEEL
THE LIGHT』は'99年に輸入盤にて再発CD化が実現されているが、アナログも比較的安価で入手しやすい。
(hatch)