STORMWARRIOR / STORMWARRIOR
HELLOWEEN の『WALLS OF JERICHO』のリマスターで'02年再発売盤です。…というのは冗談で、以前よりドイツのアンダーグラウンドではカルト的な人気があったという、ドイツ産の初期HELLOWEEN激似の'02年デビュー・アルバムです。聴き始めてすぐにわかるのですが、上にも書いたようにカイ・ハンセンがバンドの主導権を持っていた頃、つまり初期のHELLOWEENの音をお手本として、制作されています。おまけに、プロデューサーはカイ・ハンセンで、アルバムのそこら中でソロを弾いたりVoを取ったりしていたりするので、こういう音像は確信犯的に作られていると考えたほうが良いでしょう。おまけに歌詞の内容まで、『WALLS
OF JERICHO』で見られたようなメタル万歳、HAIL
TO METAL的な、いわゆるメタル・バカ系で最初から最後まで埋めつくされており、さすがにHELLOWEENファンの俺としてもおなかいっぱいになりました(笑)。このアルバムのハイライトは、やはりボーナス・トラックの(12)"Heavy Metal (Is The Law)"でしょう。言うまでもなくHELLOWEENのカヴァーですが、カイ自ら出陣してデュエットを取りギターを弾くだけでは飽き足らず、ベースにMarkus Grosskopfまで呼んで演奏させています。これは、すでにカヴァーと言う状態なのか大いに疑問も残るわけですが、とにかくサービス精神旺盛なジャーマン・ゴッドからのHELLOWEENファンへのささやかな贈り物ということですね。俺はこの1曲だけで十分おつりがきました。その他の11曲も、どれも同じに聴こえますが(苦笑)、とにかく初期HELLOWEENちっくに激烈疾走しますので、その手のファンの方は是非押さえてください。ちなみに、しっかりと日本盤も出ていますよ。 http://www.stormwarrior.de/ (かるび)
AS REAL AS IT GETS / SWORN ENEMY
New York City出身ハードコアのブライテスト・ホープSWORN
ENEMYが'03年に発表したメジャー第一弾。ヨーロピアン・メタルばかり気にしている間に、アメリカ東部から手に汗握るような興奮を与える大型新人がデビューしていたとは…カナダはオンタリオ州出身へヴィロックの新たなる希望、KITTIE以来の衝撃をこんなに早く受けるとは正直予想もしていなかった。Ozz-fest、Beast
Feastなど数々のフェスティバルに出演したこともあり人気・知名度ともに急上昇したHATEBREEDのLead Vocalジェイミー・ジャスタがプロデュースしているという事実を知った瞬間、試聴せずにはいられなくなった。モッシャーが泣いて喜びそうな(2)"One Way Trip", (4)"My
Misery", (6)"Fallen Grace"にフィーチャーされたザクザクとしたギター・リフは本当に痺れる。喚き声を主体としながらヒップ・ホップ調の歌い方も導入するなどモダンなアレンジも施してはいるが、ツイン・ギターによる一本芯の通った楽曲群は新世代のSLAYERという言葉で形容できそうなぐらいクールなもの。1曲あたりの演奏時間を平均3分ぐらいとコンパクトにまとめ上げているので聴きやすいけれど、物足りなさを感じなくもない。ハードコアと聞いただけで敬遠してしまう人もいるかもしれないが、この凄まじいテンションを一度でもいいから味わって欲しい。スウェディッシュ・メタルARCH
ENEMYとも交流があるということから、幅広いファンを獲得できそう。http://www.swornenemynyc.com/ (WINDIA)
MY DARKEST HOUR / TYRANT EYES
ドイツ産のメロディック・パワー・メタル・バンドの2ndアルバムです。クサクサ・シンフォニック・ジャーマン・メタルだったマニア好みの1stが出てからずいぶん間が空きましたが、なんとかまだ生きていたようです。オフィシャルでは随分前から音源だけは置いてあったので、作品はほぼ出来上がっていたものの、レーベルとの契約に手間取ったものと思われます。さて、本作はというと、だいぶ垢抜けました。と同時に、垢抜けたと言われるバンドが通常たどる道、脱クサメタルまで果たしました(涙)。スラッシーでざくざくしたリフにじっくりと聞かせるミドル・テンポな曲調は、クサメタル、というより正統派な趣があります。メロディもキーパー系だった前作から、叙情的でダークな北欧メロデス風に変化しており、それに合わせてVoスタイルも中低音重視〜ささやくようなデス声を多用するようになりました。従来のファン層からは(俺も含めて…)戸惑いの声もあるようですが、即効性がなくなった代わりに聴き込めばなかなか楽しめる高品質なアルバムです。日本ではどのようなファン層に受けるのか不明なメロパワとメロデスの中間っぽい作風ですが、ジャーマンクサさが減退した代わりに、確実に円熟味を増したするめなサウンドはついついリピートさせる力を持っていると思います。良盤です。http://www.tyrant-eyes.de/ (かるび)