FACES / JACK ROSE
 東京の5人組による、哀愁のメロディック・パワー・メタル・バンド。いやね、哀愁の、とか書きましたが、これがまたクサいんですよ!!! 1曲目のバンド名を冠した疾走曲、"Jack And Rose"はさすがの哀愁の曲調、クサクサギター&Keyソロに悶絶間違い無し!!! ソロ・パートだけ聴いてると、「フィンランドの新人なんですよ〜」とか言われても、ちょっと信じたくなってしまうような雰囲気だし、そして何より、日本産バンド特有の「やり過ぎ感のあるクサさ」!!!!! これが実に素晴らしいです。ちなみに歌詞は日本語。ハイトーンまでスムーズに歌こなすVoに難は無く、むしろメタラーにとって敷居として感じるのは、「日本語の歌詞」という点のみに留まるでしょう。Vo、上手いですよ。もっとも、ヴィジュアル・バンドっぽい歌い方はしています。自分はそういうのが昔好きだった経歴があるので問題無く聴けますが、人によっては聴けないかもしれません。しかし、自主制作でこれだけの音を聴かせてくれるのだから、先が非常に楽しみですね。メジャー・デビュー目指して頑張って欲しいものです。http://www.geocities.jp/jackrose7/index.html  (chiha)

EPICA / KAMELOT
アメリカのバンドの6枚目のアルバムです。このバンドについて一言で表すのなら…勘弁して下さい、マジ凄すぎっ!!てな感じですね…なぜならこのバンドはヴォーカル良し、サウンド良いのですよ。他のこの手のバンドでは、RHAPSODYも確かに良いのですが、彼らの場合は、ひたすら大仰なのに対し、KAMELOTはただキーボードに頼らず、ヴォーカルを上手くいかすような展開をしています。例えで言うなら、RHAPSODYはクサメタル界の陽で、KAMELOTは陰ですね…自分のお気に入りは、まぁ…ほぼ全部なのですが(汗)、あえて言うなら"III Ways To Epica"です。4曲目のインストから5曲目の"Edge Of Paradise"もなかなか捨てがたいです。実は自分、このバンドのライヴ('03.06.11)に見に行ったのですが、やっぱすごいです。もし国内盤でKAMELOTのライヴ盤が出れば、より多くの人達に、このバンドの凄さを知られるのではないかと、自分は思います。 (クサブラメタラー)


DE-LOUSED IN THE COMATORIUM / THE MARS VOLTA
 ラウド・ロックとかミクスチャー・ロックと呼ばれる、最近の新世代ロックには全く疎くて、メジャーなグループでもろくにアルバムを聴いたことはないのですが、渋谷のRecoFan店内でかかっていたこのアルバムは、妙に耳を捉えたので即買いしてしまいました。このマーズ・ヴォルタという覚えにくい名前のグループは昨年('02年)にデビューEPをリリースしていて、このアルバムがファースト・フルレンスになるそうです。メンバーのうち2人はAT THE DRIVE INというグループ出身で、この世界では期待のニュー・カマーということになるらしい。実験室だか手術室だかの中央に、金色に光る人間の頭部が置かれており、その口から光が出ているというインパクトの強いジャケットです。このブックレットは左右対称…というか表裏対象になっていて、裏面は湖面に人の顔が浮かんでいて脳神経というか脳漿みたいなものがワシャワシャ飛び出しているという、強烈極まりないアートワークが提示されています。もうこの時点で普通でないことが明らかですが、このキワモノ的な世界観から、プログレッシヴ・ロック、チェンバー・ロックの世界に通じる何かを感じちゃったというわけで。何と言うかこう、直感的に響くところがあったんですよね。最近ではテクニカル・メタル、プログレ・メタルのグループが好んで自己表現に使う、抽象アート的なインテリくささ…みたいのがこのアルバムからも匂ってきます。AT THE DRIVE INというグループの音は聴いたことがないので、前身との比較はできないのですが、元々こういう音を出していたんですかね? ドラムが忙しいとか、ギターがバカテクとかいった技術的なことは置いておいたとしても、全体的に醸し出す雰囲気、曲調が何となく’70年代のプログレッシヴ・ロックを思い出してしまう。重苦しいんだけどトリップ感があるというか、情景を浮かべやすいタイプの音楽とでも言えましょうか。比較の対象としては相当飛躍するようですが、オザンナやチェルベロ、ムゼオにラッテ・エ・ミエーレなんてグループ名を思い出してしまいました。いや、しかしその比較はやっぱりちょっと飛躍しすぎだな。このアルバムを聴いてそんな感想を言い始めるのは5,000人に1人、いや50,000人に1人くらいかも(笑)。さらに一歩進んで、古メタル耳に感想を言わせたらSECRECYとかTILESなどの名前が出てくるかもしれません。線の細いヴォーカルの雰囲気は、SECRECYの人に似ている気もします。もちろん、音はもっともっとモダンだし、'03年型のヘヴィ・ロックには違いありませんよ(笑)。何しろ今年のサマーソニックにも出場するくらいのグループですから。ここ最近、主としてヒット曲指向で、覚えやすい歌メロの3分間芸術を追求するのに忙しいのですが、久し振りにじっくり聴き込みたいと思えるアルバム・オリエンテッドな作品に出会えたような気がします。このグループ目当てにサマソニに行くことも考えたけど、他に見たいと思えるアーティストがBLONDIEくらいしか見当たらなかったので、遠慮することにしました。http://www.themarsvolta.com/index_main.html   (hatch)


HYMN TO LIFE / TIMO TOLKKI
 フィンランド屈指のメロディックメタルSTRATOVARIUSのギター奏者Timo Tolkkiによるソロ作品(2枚目)。希望を感じさせてくれる明るい色彩を使ったジャケットのイメージそのままという楽曲は、良質なメロディアスHRとしても楽しむことができる。マイケル・キスク(元HELLOWEEN)のどこまでも突き抜けていくかのようなハイトーンヴォイスが心を震わせる"Key To The Universe"(2曲目)とシャロン・デン・アデル(WITHIN TEMPTATION)のまさに究極の美と言えるであろうエンジェリック・ヴォイスをフィーチャーした"Are You The One?"(7曲目)を除けば、ネオクラシカル色は希薄である。しかし、しなやかさを携えた珠玉のメロディは本家STRATOVARIUS以上に自由だ。とても人間味に溢れていて温かい作品なので、ヘヴィメタルはあまり好みではないという向きにも自信をもってお薦めすることができる。秀作!   (Little Rock)


REASON AND TRUTH / CONCEPT
 イタリアの5人組のデビュー作。例によって、最凶レーベル・UNDERGROUND SYMPHONYの影響を受けてしまったこのバンドは、早ければ'01年秋にはリリースできたこのアルバムを、'03年まで延々と暖めざるを得なくなり、その動向に注目していたクサメタラー達をやきもきさせていた訳ですが、ついにその音源が届きました。内容としては申し分無く、クサメタラーが待ち望んでいた、クサメタラーの為の、クサメタル。「これぞ!」と言わんばかりのイタリアンメタル然とした壮麗なシンフォニック感、流麗なギター・メロ、そしてイギリスのDRAGONFORCEを彷彿とさせるような疾走感を交えたその楽曲は、ただクサメタルに終始する事なく、プログレッシブな風味をそこかしこに匂わせ、さらにはコンセプト・アルバムを意識したような壮大な歌詞の世界。その歌詞の世界と、壮麗でシンフォニックなアレンジとが共鳴しあって、高次元でのパワーメタルを構成する事に成功していると思います。さて、輸入盤を聴くに当たっての難点は、Vo、音質、クオリティにあります。このバンドはその後者二つをクリアしているわけですが、Voについてはどうでしょう。多少うわずった感じが多少耳に残るものの、無理のないハイ・トーン。そして、これは人によると思いますが、歌い方が、現SHAMANのAndre Matosに似ているんです! こう書くと、メロパワに聡い人であれば、どういうタイプのVoかは分かってもらえると思います。いや、実に似ている。1曲目の"Elegy Of Truth"のコーラス部分なんか、それが謙著なのではないでしょうか。人によってはそれが好みの分岐点になると思います。自分はそういうタイプのVoがたまらなく好きなので、全く問題は無いのですが(笑)。メンバーの殆どが20代前半。まだまだ先は長いのに、1stにしてこれだけのものを聞かせてくれる新人はそうはいません。しっかりとしたレーベルと契約が出来れば、第二のSONATA ARCTICAも夢じゃないでしょう。とりあえず、自称クサメタラーは、全員買いましょうね。  (chiha)