F.O.T.H. / ENOLA GAY
B!では名前がバッシングされていて、内容の方の評価もさえなかったジャーマン・メタル・バンド。その問題の名前の方はライナーを書いているW氏(もう誰かバレバレじゃ!)は、「悲惨な体験を忘れることのない為の主張」という全く逆の解釈をしている。これが正しい解釈かどうかはわからないが、いくらなんでも日本人に対して当て付けで付けたバンド名じゃないとは思う。そんなことはともかくとして、このアルバムは非常に気に入っている。1曲目の"Fly
Off The handle"の、サビの部分で一気にまくしたててくる展開に早くも私はぶっ飛んでしまった。どうやらアルバムのタイトルはこの曲の頭文字のようだ。ただパワフルなだけのジャーマン・メタルではなくて、展開の変化がはっきりしていて、少々ではあるがテクニカルな部分も持ち合わせている。力一杯吼えるヴォーカルは、いかにもジャーマン・メタルにいそうなというタイプではあるが、特別悪い点もないし好感が持てる方だ。"Never
Be Without A Friend"ではバラードをそれなりにこなし、"Spectrum
Of Colors"のような「男たちの凱歌」的な汗臭い曲ではピッタリとマッチしている。"Fly
Off The Handle", "Spectrum Of Colors", "Last Generation",
"Doomwatch"、この4曲は絶対に聴くべし。(向井孝司)

EYEWITNESS / EYEWITNESS
プロデューサーにScott Burnsの名前があるアメリカの正統派HMバンド。私は特にどうとも思わないが、Scott
Burnsファンの純生さんには気になる存在なのでは。適度にメロディアスな曲を安定した演奏力でじっくりと聴かせる、いかにもB!ウケしそうなバンドだ。ZENOの"Far
Away"、UFOの"Only You Can Rock Me"のカヴァーもあって、話題にも事欠かない。ああ、もう好きな人にはいたれりつくせりで申し分ないことだろう。かといって、ひねくれ物の私が素直に「これは最高だ!」などという訳がなく、聴いていて何か物足りないと思ってしまうのが本心。妙にアダルトに落ち着き過ぎていて、ハードに感じる部分が少ないからです。でも、きっと普通の人は気に入るでしょう。一番パワフルではっきりしたサビを持ち、ギターがZENOっぽい"Can't
Stop"、女の子なら思わず泣いてしまうような、ちょっと憂いを含んだ"Arms
Of Love"や、"Thief In The Night"は気に入ったけど、他は好きになれなかった。え?
3曲も気に入れば充分だって? 確かにそうですね。中古で買ったんだし。(向井孝司)

I. Q. ZERO / HATE SQUAD
まだまだまだ懲りずに続ける'90年代スラッシュ漁りシリーズ。ケースにKREATORとのツアー・スケジュールのシールがはってあるだけあって、音楽性もKREATORに近いところがある。"Not
My God"のような速い曲では、2本のギターの作るスラッシーなリフに吐き捨てタイプのヴォーカルが乗って、かっこよかったときのKREATORを思わせる。ただし、核となるのは現代的なアングリー・ミュージックで、各曲に度合いの高い怒りをヘヴィなサウンドだけに頼らずうまく前面に出している。次はもっとクレイジーになって、頭蓋骨が砕けるようなきちがいじみたテンションで攻めてくる曲で埋め尽くしてほしい。(向井孝司)

ZOS KIA DAOS / LIMBO
女子高生に人気のあるものといえば、ルーズソックス、プリクラ、そして、畑違いのカヴァー・シリーズである。この、チープなインダストリアル野郎LIMBOがカヴァーしているのはMETALLICAの"Enter
Sandman"。タイトルのほうは"Biometallica"となっていて、なにをかくそうこのCDを買ったのはこの曲が気になったからであった。それにしても、これはひどいね。すごく単調で工夫のかけらもない。DIE
KRUPPPSよ、あなたがこんなに偉大に思えたことはありません。METALLICAファンのよいこは買っちゃダメですよ。私は好きでカヴァー曲を集めているのでハズレても平気だけど、そうでない人はへたに興味を持つと痛い目にあいます。なお、"Trans
Neuro Regress"というタイトルでKRAFTWERKもカヴァーしていて、"Trans
Europe Express"のメロディと"Home Computer"のリズムを基本に、"Radioactivity",
"The Robots"も混ざったわけのわからないものになっています。 (向井孝司)

COMPLETE DISCOGRAPHY / MINOR THREAT
以前一度購入して手放したけど、SLAYERがカヴァーしたので改めて買ってしまった(学習効果ゼロ)。メロディのろくにないヴォーカル、つんめりそうなスピード、展開に乏しく短い曲というハードコア・パンク以外の何物でもない音。ただし末期の曲はややまとも。いい曲もあるけど、最近はこの手の音がよりいい音質で聴けるので、どうしてもアグレッション不足で物足りなく思えてしまう。思わず耳直しにSICK
OF IT ALLを聴きました。 (ナンシー関野)

