HEY! GET OUT OF MY WAY / CARDIGANS
いつの間にか、お茶目なポップ(でしたっけ?)で大人気のCARDIGANSがシングルのみでTHIN
LIZZYの"The Boys Are Back In Town"をカヴァーしていました; 私もとうとうCARDIGANS持ちです;
CARDIGANSは聴くのは初めてなんですが、タイトル曲を聴くと、予想通りというか、飛び跳ねてしまうようなポップ感覚で、女性Voはかわいく歌っているのなあ。でも、サビの部分できばって歌うところは、GO
GO'Sのベリンダ・カーライルを思わせてくれる。
大ヒットしたらしい"Carnival"はPuck Versionなるものが収録されているのですが、男性Voがしんみり歌っていて、実につまらなかった。お茶目じゃない!
変なヴァージョンだから? で、お目当ての"The Boys Are Back In Town"ですが、実にかったるくていいです;
LIZZYの曲の中でも特に元気な曲を、このように料理してしまうとは; CARDIGANS恐るべし;
いちおう原曲に忠実に後半ではブレークして静かになるところも再現されていて、とってもかわいいです。結構気に入ってます。(純生)

THE GRAVEYARD / KING DIAMOND
前作『SPIDER'S LULLUBY』はキャッチーなメロディの曲が数曲いいなと思ったけれども、その数ヶ月前に聴いたMERCYFUL
FATE『TIME』の方の印象が強く、いまいちでした。今回はM.FATEがいまいちの代わりに、KING
DIAMONDはなかなかの力作です。キャッチーな曲というのはないのですが、今回はコンセプト・アルバムということで、名作『ABIGAIL』ほどの分かりやすい起承転結はないけど、全体的に怖い雰囲気に包み込まれて、『ABIGAIL』近いものがあるのではないでしょうか。中盤、スローテンポの曲が続くのが、ちょっとダレるかなあ。全編に渡っている複数のKingが歌っているかのようなVoの処理は本当にきれいでいいですね。M.FATEとの決定的な違いの一つでしょうか。スピード・チューンの"Waiting"いいです。ノリのいい"Trick
Or Treat"も好きです。メロディアスなギター・ソロも映えるなあ。こういった速い曲がもっと欲しかった。
一番怖い曲は終盤の"Up From The Grave"でしょう。Kingが「らららららら…」と不気味に歌っているし、バックのKeyが震えています;
次ぎに怖い曲は"I Am"です。それまではメロディアスでかっこいい曲調なのに、エンディングでは「Die」を20回ぐらい繰り返してます。ストーリーの出来は、B!のインタビューを読んだだけなのですが、まったくのKingのオリジナルなのかな。私はいまいち話の主旨が見えない。『ABIGAIL』ほどわかりやすくもなく、『THE
EYE』の魔女狩りという事実に基づいた話にはかなわないか。(純生)

LIFE AFTER DEATH / LIFE AFTER DEATH
'96年リリース。THIN LIZZYの"Don't Believe A Word"をカヴァーしているので、買ってみました。元ARMORED
SAINTのDs、Gonzo Sandovalのニュー・バンドのようです。音楽性の方はA.SAINTは関係なしで、もろにLIZZYしています。ツイン・ギターで、ベース・ラインが全面に出てくる。野太い声のVoも、こうなると自然にPhilに似てくる…(わけないか;)。
"Hard Time"は後半ブレークして、静かになって、また盛り上がるところが、LIZZYの"Dedication"のようで、いいです。ギター・ソロの暴れ加減もLIZZYしてる。"My
Life"はイントロから、ツイン・ギターがハモってしまって、これまたLIZZYしてる。軽快な曲調もいいです。"Borrowed
Time"は"Holy War"に似た力強いベース・ラインの曲。
"Sunshine Of Your Love"もカヴァーしてます。というわけで、カヴァー目当てなので、本編がつまらなくても仕方がないのですが、こりゃー大当たりでした。どこを聴いても、LIZZYしているのですが、具体的にどこのフレーズをパクっているとかじゃなくて、彼らなりの曲に仕上げているのだと思います。(純生)

INTO THE UNKNOWN / MERCYFUL FATE
再結成後の3枚目になるわけですが、再結成1枚目『IN THE SHADOWS』は伝説のバンドの再結成!で、しかも名曲"Melissa"の続編の曲があり、加えてデンマーク友達のMETALLICAのラーズ・ウルリッヒのゲスト参加もあり、お祭り騒ぎで浮かれていました。昨年リリースされた2作目『TIME』はキャッチーなメロディの曲が多く、私にとっては半分以上が名曲レベルであり、名盤!と思える出来だった。だがしかし、お祭り気分は抜けた今、『TIME』のように素晴らしい曲もないこのアルバムを聴いて、改めて伝説のM.FATEと現在進行形のM.FATEは「別モノである」という現実を痛感せずにはいられない。
King DiamondのVoはよりソフトになり、聴きやすくなっている。バックの演奏が薄っぺらいけど、線の細いメロディアスながらも、不気味なギターの音色が印象だったのは伝説時代で、現在は凄くヘヴィな音作りになっている。ところで、同時進行しているKING
DIAMONDの方(ソロ・プロジェクトではない。あくまでもバンド)はというと、『SPIDER'S
LULLABYE』ではそれまでと一転して、Key大幅導入のソフト路線から、ヘヴィ路線へと変更されていた。両者のバンドの大ファンならば、同時進行する意義、そして違いが明確にわかると思う。しかし、一歩下がったファンにとっては、何故同じようなサウンドのバンドが同時にアルバムをリリースするのだろうか?という疑問が起きるであろう。インタビューのたびに2つのバンドの違いをくどくどと説明しなければならないのは、とても悲しい。
なんか暗くなってしまった。では明るく語ろう。デジパックの輸入盤がリリースされていたので、日本盤ボーナス・トラックであるJUDASのカヴァー"The
Ripper"を見送って買ってしまった; 来日が却下されても、もう文句は言いません;
このアルバム、キャッチーな曲はないけど、暗い雰囲気だし、わかりずらい展開だし、これはこれで伝説のM.FATEにもあった醍醐味ではないか!といいように解釈しています。タイトル・トラックはありがちなアコギの音にがっかりしたが、鬼気迫るような強引な展開美はなかなかのもの。"Kutulu"は"The
Mad Arab Part 2"というだけに、前作収録の"Mad Arab"と同じアラビア風のメロディなので、ずるっとこけたが、曲名を連呼するところでは、ギターは震えていて怖いし、Kingの声にも狂気が5割り増しで宿っていて、"Part
1"よりも好きになりました。終わりそうで、終わらない展開は、まさしく伝説の名残だろうか。(純生)

NUNS HADE NO FUN / MERCYFUL FATE
'93年のダイナモ・オープン・エアでのライヴをオーディエンス録音したブートが、1,000円で売られてきたので、買ってみました。選曲の方は、再結成直後のライヴだけに、いにしえの曲ばかり並んでいて、オールド・ファンにはたまらないものがあるんじゃないでしょうか。
繊細なギターのイントロから始まる"Into The Coven"では、なんとそのメロディに男のオーディエンス群がハーモニーをつけている…おぞましくもあるが、何とも微笑ましくもある。Kingが「1stミニ・アルバムからやるぞー」とかMCを言うと、オーディエンスが「"Nuns
Hade No Fun"!」と答える。凄まじくマニアックだ。この1stミニの音源はリマスターされて『THE
BEGINNIG』で聴けるけど、オリジナルは未CD化のど廃盤だけに、オーディエンスはよく知っているなあ、と驚かされます。そして演奏することに対しても。そして、私の大好きな"A
Dangrous Meeting"もやっているではないか。でも、この曲は途中フェイド・アウトしてる;
次々と変わる曲展開にしびれる"Satan's Fall"は、エンディング付近でブレークして、Kingがきれいな声でハーモニーを入れる部分では、オーディエンスも一緒に歌っている。感動的な場面です。アンコール1曲目は人気曲の"Come
To The Sabbath"です。最初っから、オーディエンス大合唱です。私も実現するかわからないけど、来日公演の為に歌詞覚えておこうっと。そして、エンディング近辺のハーモニー部分では手拍子も入ります!
アンコール2、3曲目は"Black Funeral"と"Evil"なのですが、もうオーディエンスも演奏してくれるべき曲はこの2曲だとわかっているみたい。曲名を叫ぶ叫ぶ。そして、他の曲以上に大合唱なのです。ああ、MERCYFUL
FATEなんて、一部のマニアの間でしか聴かれないバンドだと思っていたのに、この熱狂ぶりには感動さえ覚えます。
オーディエンス録音ということで、音は悪いけど、その分オーディエンスのノリ方、ライヴへの参加の仕方が分かって、ライヴ未体験の私にとっては、とても満足できました。私も"Into
The Coven"のイントロでは「ららら…」と歌いたいぞー! (純生)

