TERMINAL REALITY / RAPED APE
 何だかんだいってもスラッシュ史上主義の私は、どんなにメロディック・デスが台頭して来ようとも、今となっては素直過ぎるくらい単調な(スラッシュとしては正統的な)ゴリゴリしたサウンドを持ったバンドの探求を、相変わらず第一目的にしている。これはフロリダ出身のスラッシュ・バンド、RAPED APEのデビュー・アルバムで、Scott Burnsがプロデュースした6曲入りミニ・アルバム『TERMINAL REALLITY』に2本のデモ・テープから2曲づつチョイスし、10曲入りとなっている。Scott Burnsがプロデュースした6曲はスラッシュとはいえ、ダークで少し霞がかったようなサウンドに加えて、コーラスや所々でデス声が使われていて100%ピュア・スラッシュとは言えない。しかし、それ以前の音源であるデモ・テープからの選曲は、型にはまったストレートなスラッシュで、特に新鮮な感動とか凄さといったものは感じられないが、これらの曲が入っていたことによって第一目的を達成することが出来たと言えるし、相変わらず拘っていていい加減うっとうしく思われるかもしれないが、スラッシュに勢いのあった'80年代の雰囲気も持っている為、私としてこちらの方が楽しめる(ラップ調の"Wastoid"は別だが)。ただ、これから先デスラッシュの方向へ進んでいくかもしれないという不安があるので、手放しには喜べない。 (向井孝司)


WHEN YOU'RE A TUESDAY GIRL / TUESDAY GIRLS
 ブックレットを開けた右側に、いきなりVoの「生年月日」「家族構成」「好きな色」「好きな食べ物」などのデータが羅列してあって、カウンター・パンチを食う(勿論左側は全1頁のカラー写真)。当然その後にはちゃんと全員の分が続いていて、気恥ずかしさを増幅させる。こんなグループが「今、気に入っています」なんて、とても人前では言えない。恥ずかしさを超えてレポートします。
 しかし、しかしがである。私も全編「いい子になれなくて」的明るく楽しいポップ・ロックを想像していたのだが、どうもそうではないのだ。なんと1曲目がいきなりENUFF Z'NUFFの"Right By Your Side"のカヴァー! 2曲目は予想通りのポップ・ロックだったが、3曲目が今度はHOLLIESの"The Air That I Breathe"のカヴァー! 何もそんな悲しい曲ばかり選ばなくても…。4曲目は静かなバラードで、5曲目に「いい子になれなくて」が来た後、6曲目がまたしてもミドル・テンポのバラード。つまり、実はポップスよりはAOR寄りだったりするのだ。私としては、折角こういう売り出し方をしたのなら、徹底的に明るく楽しいポップス攻めにしてほしかったという思いもあるのだが。まあ、いずれにせよ思ったより末長く聴くことになりそうではある。それにしても、ここまで来てしまったらBANGLESとかTHE PARTYとかBOY KRAZYとかも買うべきなのかな、やっぱり。 (緒方賢史)


WHERE DO WE GO FROM HERE / VINNIE KAY
 全曲哀愁のハード・ポップで、良いメロディがあって、演奏・録音レベルもそれなりにあって、お好みテープに入りそうな曲がいくつもあるほど品質が高く、まさに私好み…のはずなのに、案外ハマるに至らない。もっと聴き狂ってもいいはずなんだが。何故だろうと考えたら、つまり「同じ曲が多い」んですね。よくよく聴いたら、曲のテンポはほとんど同じだし。もう一つマイナス材料として、「サビメロの詰めが実は甘い」ということも言っておきたい。全体としてはいいレベルまで作っているのに。惜しい。ところで最後の2曲にBonus表記があるのは何なんでしょう。 (緒方賢史)


ABSTRAKT ALGEBRA / ABSTRAKT ALGEBRA
 '95年リリース。CANDLEMASSの中心人物Leif Edlingのプロジェクトということで、期待しないわけがない。最初はソロということだし、CANDLEMASSを解散させるとは思ってなかったので、CANDLEMASSとは全然違うことをやるのだろうと思っていたのだが、蓋を開けてみると、そのまんまじゃないにしろCANDLEMASSの音楽性を引きづっている。元TREATのVo氏は「腑抜けかな」という予想に反して力強いVoを披露していて、とても好感持てる。CANDLEMASSと決定的に違うところは美しいと感じるメロディがないこと。曲も印象に残らず、私は気に入っていない。期待外れでした。(純生)


INSIDE OUT / FATES WARNING
 '94年リリース。前作『PARALLELS』が非常に音空間に深みがあって気に入っていたのだが、このアルバムを聴いても空間が広がらない。音が薄っぺらいというのとは違うけど、マジックが起こらない。とは言え、歌メロの美しさは相変わらずで、ぐぐっとくる。(純生)


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