A TRIBUTE TO DEEP PURPLE FROM
JAPAN
トリビュート流行の昨今、ジャパメタを支えた日本人ミュージシャンが中心になり、DEEP
PURPLEのトリビュートを作るという。ここにジョージ紫がいなければ、私は冷ややかに「最近、みんな仕事ないのかなあ」と言い放ったであろう。しかし、ジョージ紫がいるのだ。彼を抜きに、PURPLEのトリビュートをやるべきではない。逆に言えば、彼がいるからこそ、このトリビュートは「ジャパメタ救済プロジェクト」にならなくてすんでいるのだ。と、のっけから「ここまで言うかね、あなた」と言われそうだが、正直言って嬉しいのです(笑)。ジョージ紫をも、このプロジェクトに誘ってくれたことが嬉しいのです。日本のジョン・ロードと言われた男である。これまでに数々のPURPLEのカヴァーを演奏してきているのだから。さらに、チビこと、宮永英一もいる。彼も多くのPURPLEの曲でドラムを叩き、歌ってきた。最近のメタル・ファンに、こういう人達もいるのだ!というアピールも兼ねている。とりとめなく嬉しいアルバムです。なおかつ、事前の情報では、ドラマー宮永だったのだが、実際にはドラムを叩いているけど、しっかりと歌ってもいるのです。嬉しい!
タイトルは『WHO DO THEY THINK WE ARE / A TRIBUTE TO DEEP PURPLE FROM
JAPAN』('96年リリース)。ブックレットには、全員の顔写真も載っているが、チビさんのは穏やかな表情、ジョージさんのは鋭い視線を投げかけている。
"Lay Down, Stay Down"はDavid CoverdaleとGlenn Hughesのダブル・ヴォーカルの曲だが、ここでは人見元基とチビさんが歌っている。いやー、この曲って、こんなにかっこよかったっけ?
人見の歌の巧さは文句のつけようがない。この人の歌が私は大好きなので、上手い下手は、好き嫌いのバロメーターでもあるのだが、ここに参加しているヴォーカリスト達の中では、ずば抜けているのだ。で、この曲では、人見に負けずにチビさんが熱唱している。2人の声がはもるところは最高です!
私がこのアルバム中、一番気に入った曲です。
"Lady Double Dealer"は人見が歌っている。他のVoの歌い方や発音が日本人している部分は恥ずかしいのだが、この人にそんな心配はいらない。でも、この人は優しく歌えないのが難かな。抽象的な要求ではあるけど。ドラムを叩いているのはチビさんです。気のせいか、他のドラマーよりも、いい音を出している!
ずばり言って、冷静な状態ではないですね(汗)。
"Fireball"ではジョージがKeyを弾いているが、まともなギター・ソロがない曲で、その分ジョージのKeyを堪能できるかもしれない。でもイントロでがオリジナルではベードラで始まるのに、ここのはちょっと違うので、ちょっと不良消化。これはチビさんに叩いてもらうべきだったのだ。紫のライヴ・アルバムでの"Fireball"のドラミングは素晴らしいです。
"Burn"はライヴ・ヴァージョンのコピーなのがいいです。歌っているのは人見と、日本で唯一、お茶の間での露出度が高いブラック・メタル・バンドのデーモン小暮だ。まあ、あのメイクが聴いているだけでは見えてこないことと、私自身は彼の歌声はあまり知らないので、抵抗なくすんなり聴くことが出来た。
他のヴォーカリスト達なのだが、人見につられるかのように、みんな力が入りすぎているように感じる。B!では"Speed
King"を熱唱しているANTHEMの人を誉めていた。確かに全盛期のIan Gillanに通じる部分もあるが、でもちょっと疲れるよ。ANTHEMでも、こんなに頑張っていたのだろうか。また、力みすぎ症候群はチビさんにも感染している。張りのある声だった若い頃なら"Highway
Star"を歌うのもお似合いだっただろyが、今のチビさんはシャウトするよりも、優しく歌う方が似合っている。この曲ではチビさんらしからぬ、聴き苦しいシャウトをしている。好きなミュージシャンに聴き苦しいはないかもしれないが、本当に違和感たっぷりで、ショックを受けたのです。(純生)