ISLAND(2)
'95年12月18日に南青山MANDARAというライヴハウスにて元紫の城間兄弟率いるISLNADのライヴが行われましたので、今回はそのライヴ・レポートです。
ライヴハウスの入ったところには3つばかり花が届いていて、1つは松任谷由美からでした。なんか天下の大スターがこんな小さなライヴハウスでライヴやるバンドに花を贈るなんて嬉しいものがあります。彼女とISLANDとの関係に改めて触れておくと、彼女のラジオ番組のエンディング・テーマとしてISLANDの"Stay
With Me"が流され、それがきっかけの一つにもなり、この曲がスマッシュ・ヒットしたとか。
さて整理番号順に入場すると、会場には想像していなかったテーブルと椅子が並んでいるのです。まあ私が行ったことのあるライヴハウスなんていくつもないけど、ZODIACがやっているSHOW
BOATに比べたらずっとお上品なところです。広さはSHOW BOATの2倍ぐらいありそう。私は迷うことなく最前列の右よりの椅子に座る。あーしかしこういうおしゃれなところは1人でくるもんじゃないなあ。お酒に加えて食事も種類豊富。だから開場から開演まで1時間もあるのかなあ。私は一人寂しく開演をじっと待つ。チケット代に含まれているドリンク券でビールの小瓶をラッパ飲みして、アイリッシュ・ウイスキーとバーボンをロックで1杯づつ飲めば、適当にいい気分になってくるもんさ。でも、ますます一人が淋しくなってもくる。招待席である人をずっと探していたのだけど、結局お目当ての人、Sinonは来なかったみたい。その代わり起利錦らしきお相撲さんがいた。
ステージ上は狭いところにドラムとキーボードがあって、こりゃあどう見ても以前のライヴのようにジョージ紫がゲストとしてついてきてそうにない。ちょっとがっかり。オープニングは元気なナンバー"After
The Rain"。私の真正面、1mと離れていない場所にはベースの城間俊雄さんがいて、1m先のところにはヴォーカルの城間正男さんがいる。少し後ろの方がステージ全体が見れていいかな、音もいいかなとも思ったけど、貧乏根性丸出しでも一番前に座って良かった。2曲目はジョージ紫作詞作曲のISLAND唯一のハード・ロック・ナンバー"Straight
From The Heart"。この時は興奮気味だったのか、歌っている正男さんをじっと見つめ、体を揺らして気軽にのってしまった。が、後からこの曲にはなかなかのギター・ソロも、最上級のオルガン・ソロもあるのに(アルバムではジョージ紫が弾いているが、この日はKeyの新川がオルガンのような音色も出るKeyも用意していた)、よく覚えていない。もっとしっかりと聴けばよかったのにと後悔。
3曲目にバラードの"ひとりにしないで"を演奏後、初めてのMCが入る。相変わらずたどたどしいMC。20年以上Voを努めてきた人とは思えない初々しさだ。でも声だけは相変わらずキレイで張りがあって若々しい、ぱっと見はただのおじさんなのにさあ。この後は2ndから"Heart
Blue", "少年の日", "花"が3曲続く。少し早い目のクリスマス・プレゼントということで、"クリスマス・キャンドルのように"がアコギで演奏される。なんか淡々としたレポートになってきたけど、その通りでここら辺は淡々として見ていたのだった。
"Tears In Heaven"という英詞の曲が演奏された。おそらく誰かのカヴァーでしょう。知っている方は御一報下さい。ハードロックじゃなかった。続いてこれからシングルとしてリリースされる新曲として"鳥に願いを"という曲が演奏された。ミドル・テンポのリズムが強調された曲で、ただのニュー・ミュージックではなく、今までのISLANDにはない変わった感じの曲で、再び聴けるが待遠しい。「マライア・キャリーも最近やりましたが、ぼく達も好きでよくやっています」というMCでJOURNEYの"Open
Arms"のカヴァー。なかなかはまっている。STYXの"Boat On The River"では、最前中央(私の隣の隣)にいた男性にタンバリンが渡される。演奏後は「あんまり上手くなかったですね(笑)。彼に拍手を」と、おまけに正男さんと握手していた。んあ〜羨ましい。私が手にしていたら、この沖縄のタイトルも「衝撃が走る!!
純生がISLANDと共演!!」とかになっていたのに…。
更にちょっとヘヴィな曲調で、オルガンの音色が印象的な"Blue Color
Man"という曲。これもSTYXのカヴァー。お次はDOOBIE BROTHERSのカヴァーで"Long
Train Running"。南国バンドのISLANDにはぴったりの選曲なーと思ってしまった。エンディングで一度ブレークしておいて、メンバー間で合図してまた始まってしまうところがかっこよかった。ドラム・ソロも組み込まれていた。セットの最後が"Stay
With Me"でしたが、私はこの曲は聴き過ぎと歌い過ぎで感動はしないんだよな。困った。
アンコールではギターの最初のリフで会場が「おおっ!」と盛り上がった。それもそのはず"Smoke
On The Water"です。エンディングでのオルガンとギターの掛け合いが、PURPLEのライヴのそれのようでかっこよかった。
そして、最後の曲として"あなたのために"がコールされる。正男さんとEriという女性Voがデュエットする静かなバラードです。そして、正男さんがゲストを紹介する。私は一瞬あの人…Sinonかも思って、心臓バクバクしていた。が、0.8秒後には「娘のEriです」と言葉が続いた。な〜んとEriなる女性は正男さんの娘さんだったのです。出てきたのは、中高生ぐらいのとってもかわいらしい少女です。お父さんと並んで"あなたのために"を歌い上げます。お父さんと違ってちょっとハスキーがかった声です。声量があるわけでもないけど、アルバムで聴けた通り、かわいらしく歌っていました。よく出来ましたってとこかな。
楽しかったけど、大満足という気持ちにはならなかった。オーディエンスのノリもいまいちだったな。周囲の話に耳を傾けていると、純粋なるISLANDファンもいれば、紫時代からのファンもいたみたい。ジョージ紫がついてこなかったことも残念。紫の"Double
Dealing Woman"をやらなかったことも残念。後半にあんだけカヴァー曲をやるぐらいなら、せめて1曲ぐらい紫の曲をやってくれてもいいのにさ。想像するに、城間兄弟はあんまり紫に拘っていないのかな。紫の曲が好きじゃないのかな。逆に拘っているから、好きだからやらないのかな。それと大ドジをしてしまった。開演前にセット・リストの一部が見えてしまったのです。一番前に座ったのだから当然なのだけど、最初にふとステージ上に目をやると、白い紙が貼ってあるのが目に入って、しかも「Smoke」という文字まで見えてしまって…あっこれは見てはいかんと思ったのだけど、「Smoke」ときたら素直に"Somke
On The Water"だもんな。まあ少しは"Smoking In The Boys Room"かなと思ったけど(大ウソ)。"Somke
On The Water"なんかは紫でもやっている曲だけに、知らずにあのリフを聞いたら悲鳴をあげていただろうに。惜しまれる。(純生)