INCANTATIONS / MIKE OLDFIELD
 '78年リリースのアルバム。4曲で80分弱という長さです。STEELEYE SPANの女性VoのMaddy Priorが参加している。4曲に分かれているけど、曲の流れはさりげなくあるよう。基本はインストで、綺麗な音色の様々な楽器が出てくる。他の場面で出てきたメロディが、ここでは他の楽器で、女性Voで表現されていたりする。雰囲気物のゴシック…例えばELEND, SUMMONINGなんかに似ている。って、ELENDなどのバンドは逆にMikeに思いっきり影響を受けているのかもしれない。雰囲気物のゴシックに比べると、ずっと音に深さがあって立体的。あとは曲の展開がずっと豊かかな。アルバムの一部分だけ聴いても面白くないが、ぶっ通しで聴くとはまるかも。以前紹介したアルバムより、ずっと面白かった。そしてMaddy PriorのVoは陽気な曲を歌わせても、こういう幻想的な曲を歌わせてもいいなあ。(純生)


NO ALTERNATIVE / JONESY
 「今月の祝・CD化」14回目です。久しぶりの本格派プログレです。と書いて気付いたけど、もしかしてこの連載はぜーんぶプログレだと思われていたりするのだろうか。そうじゃありませんからね。
 さて、'70年代初期に3枚のアルバムを残したJONESYの、本作は'72年発表の1st(SI-WANより)。2ndと3rdもSI-WANからCD化済(2ndはその昔、日本盤もあった)。この頃はまだトランペットのアラン・ボウンがいない4人編成で、リズム隊も後の人達とは違う。内容はどうかというと、適度に凝った展開、気が付いたら長くなってしまいました的な曲の長さ、リード楽器より目立とうとする不届き千万なリズム隊、適度に入ってくるメロトロンという、いかにも当時のイギリスにありがちな音。しかしメロトロンが強調された上に、トランペットも加わって楽曲も向上した代表作で2nd、ブラスが前に出て突然攻撃的なジャズ・ロックに転身した3rdに比べると、明らかにワン・ランク落ちる。特にどこがどうということはないし、急いで買うべき作品では決してない。2ndと3rdを聴いて全部欲しくなった人、あるいは重傷の英国病患者の方々はどうぞ。(アマリリス)


FRESH AIRE / MANNHEIM STEAMROLLER
 こんなもんもCD化されていました。ニュー・エイジ/イージーリスニングの方面では結構有名という話のこのバンド。私は「アメリカン・ロック集成」で初めて知りました。ある日、某大手レコード店で見つけて、ひっくり返りそうになった。ニュー・エイジ・コーナーで騒いでいるプログレ野郎が一人…。さて、このアルバムは'74年にリリースされた彼らの1stです。この後『FRESH AIRE』のタイトルを使って、確か『Z』まで出てるはず。以降の作品はどんどん洗練されて、ニュー・エイジ風になるので、ロック色が残っているこの1stがいい。E.L.P.と同じ編成のこのバンド、リリカルなピアノを中心に心暖まる世界を作ります。一方でシンセをヘヴィに使ったアップ・テンポの軽快なナンバーはプログレ風でもあります。メロディの美しさは特筆物です。特に"Sonata"がいい。全曲作曲しているリーダーがドラマーというのも面白い。(あをやまたけし)


SEE FOREVER EYES / PRISM
 PRISMの2nd('78年)。もう、1曲目からアメリカン・プログレ・ハードの王道を行きまくっている。その勢いと緊張感は最後の曲まで維持されており、やはり代表作と称せられるに相応しい(どうでもいい曲もなくはないが)。GSの曲みたいな変なベースのリフが印象的な"Crime Ware"が特に良い。あと特筆すべきなのがB面3曲目の"You're My Reason"で、QUEENの"You Take My Breath Away"や"Jealousy"風の悲哀に満ちたバラード(バックの音が極力弱く押さえられているところがポイント)。雪が積もった夜に、誰もいない道を2人で手をつないで歩くときのBGMに聴こえてきたりすると、はまり過ぎて逆に気まずくなると思う。しかし、何でベストに入れなかったんだろう。もっとも、何故かこれはメンバーの書いた曲はないんだけど。(アマリリス)


THE COLLECTION 2 / GRYPHON
 リコーダー入りプログレGRYPHONの'95年リリースのベストらしきアルバムが600円で買えました。以前紹介した1stの曲も収録されていて、それらの曲はリコーダーなどの個性的楽器が曲の中心にいるようで面白いのだが、他の曲は普通の楽器が主人公で、普通のトラッド風のロックという感じ。確かに耳を澄ませば、妖しい音色も聞こえてくるのだが、なんか耳に残らないというか、1stを聴いた衝撃もないというかね。アルバムによって、当たり外れが大きいバンドなのかも。(純生)